バンガロールは「オルタナティブな愛」の首都なのか
Posted on 19 Jul 2026 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
Arundhati Ghosh氏の著書はぜひ読んでみたいです。
「インドのITキャピタル」として知られるバンガロールは、意外な文化の中心地にもなりつつあることを、以下の「The Hindu」電子版で興味深く読んだ。
Is Bengaluru India’s capital of alternative love?
バンガロールと言えば、人々の関心事がコミュニティに昇華する街でもある。
ランナーのためのグループから、サワードウ種の製パン愛好家、アマチュア天文学者、そして起業による精神的ストレスから立ち直ろうとしている創業者たちのグループまである。
そう考えれば、ポリアモリー*を実践している人、ポリアモリーに興味がある人、キンク*に関心がある人、あるいは単に、一夫一婦制に疑問を呈する人のためのグループがあっても、何ら不思議ではない。
実際、バンガロールには、キンクをテーマにしたワークショップ、オルタナティブな関係*を模索する人々のための交流会があるという。
バンガロールは、インドの大部分で、いまだ存在しないか、タブー視されがちとされるコンセプトで交流する場に、比較的容易にアクセスできるようになっているようだ。
たとえば「世間」で一般的ではないとされる、ポリアモリーやオープンマリッジ*といった関心事について、恥じることなく話せるほど日常的なものとして扱うことのできる場所だ。
オルタナティブな関係を探す人々が利用するマッチングアプリ運営会社、Gleeden-Ipsosが2025年に実施した調査によると、バンガロールの回答者の70%が、オープンマリッジ、合意に基づく非一夫一婦制、ポリアモリーを受け入れていると答え、21%はすでにそのような関係にあると回答したという。
また、バンガロールは、既婚者用マッチングアプリGleedenにとってインド最大の市場でもあり、国内の約400万人のユーザーのうち、およそ18%を占めている。
Gleeden Indiaのカントリーマネージャー、Sybil Shiddellは、その背景のひとつとして、テクノロジー、金融、コンサルティング業界で長時間働く専門職層の存在を挙げる。
そうした人々は、「パートナーを愛し、尊敬している前提がある。それでも時には、お互いに別々の人生を生きているように、あるいはルームメイトと暮らしているように感じ始めることがある。擦が少ない手段とされる」と説明する。
また、バンガロールは移住者の街であり、その多くは「口うるさい親戚たちによる監視ネットワーク」から適度に距離を置いて暮らしている。
バンガロールでセクシュアルウェルネスのワークショップを主催する、Puducherry拠点のセクシュアリティコーチPallavi Barnwalによると、バンガロールのクライアントの多くは、外からどう見られるかを取り繕うことへの関心が比較的薄く、欲望や心の弱さ、不満について、より積極的に話そうとする傾向があり、「取りつくろうことや、他人からどう判断されるかを気にすることが少ない」と話す。
この街を際立たせているのは、こうした場所に、どのような人々が安心して足を踏み入れられるのかという点でもあるのかもしれない。
イベントを通じてオルタナティブな関係を支援する「The Intimacy Curator」が主催するイベントでは、ムンバイーの場合、参加申し込みの男女比が大きく男性に偏ることがある。
つまり、女性の申し込みがわずか20~30人のところ、男性は300~400人に上ることがある。
同時に、デリーでは、女性の応募者がわずか10人程度となることもある。
一方、バンガロールでは、男女比がほぼ均等に近づく。
創設者のAili Seghettiによると、バンガロールの参加者は、ほかの地域で一般的に出会う人々と比べて、「自分が何を求めているのかについて、より多くの情報を持ち、明確に言葉で表現でき、同意や用語にも、より慣れている」傾向があるという。
しかし、この街の開放性は、テクノロジー業界で働く人々がセラピーで使われる言葉を知るようになったからといって、一夜にして生まれたものではない。
『All Our Loves: Journeys with Polyamory in India』の著者Arundhati Ghoshは、その背景には、クィア、フェミニスト、ダリット*、芸術、市民社会の活動が何十年にもわたって積み重ねられてきた歴史があり、それぞれのコミュニティは別々の社会的世界にとどまるのではなく、頻繁に重なり合っていると指摘する。
つまり、この街のポリアモリー・コミュニティは、単なる出会いの場ではなく、友情やケア、実際的な支え合いのネットワークでもある。
Arundhatiによると、バンガロールはまた、ほかの多くの都市に比べ、社会的に自分をどう見せるかということに、それほどとらわれていない。
「ここでは、誰かに何かを証明しなければならないとは感じない。だからこそ、人と違うことをためらわなくなる。違うこと自体が、特に珍しいことだとは感じられないからだ」と同氏は言う。
*ポリアモリー: 関係するすべての人の合意のもと、複数の人と同時に愛情関係を築くあり方。
*キンク: 一般的な性的嗜好や表現の枠にとらわれない、多様な性的関心や実践の総称。
*オルタナティブな関係: 一夫一婦制など従来型のパートナー関係に限定されない、多様な関係性のあり方。
*オープンマリッジ: 夫婦双方の合意のもと、婚姻関係を維持しながら、配偶者以外との恋愛的・性的関係を認める結婚のあり方。
*ダリット: インドのカースト制度の外に置かれ、歴史的に差別や社会的排除を受けてきた人々を指す呼称。

ASKSiddhiは、Noteでも記事をアップしています。
今後メンバーシップを利用した企画なども考えていますので、
よろしければフォローしてみてください。
|
About the author
|
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments