インドのギグワーカー、高いリスクと乏しい保護

 

Posted on 06 Sep 2026 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

依頼する側も、このような背景について十分に把握することが必要だよね。



フードデリバリーや商品配送などの分野で活躍する、いわゆるギグワーカーの置かれている厳しい状況について報道する記事を、「Business Standard」に見つけた。

インドのプラットフォーム労働者*は、職場の安全に関する高いリスクにさらされている一方、保険や安全研修、懸念事項を報告する仕組みを十分に利用できていないことが、労働者の権利擁護団体Janpahalとギグワーカー団体Gig Workers Association(GigWA)が3日に発表した全国調査で明らかになった。

最も広範囲に及ぶリスクとして浮かび上がったのが、極端な暑さだった。
異常気象の中で働いたと回答した778人のうち、96.57%が暑さによって仕事をする能力に影響を受けたと答え、75.5%が生産性と安全性に中程度から深刻な影響があったと回答した。
暑さに関連する健康上の問題には、疲労、脱水症状、深刻な熱中症状などが含まれていた。

こうしたリスクがあるにもかかわらず、調査対象となった労働者の62.2%は健康保険に加入しておらず、44.2%は傷害保険に加入していなかった。
傷害保険の保険金を請求したことのある労働者のうち、80%以上がその手続きを困難だと感じていた。
この結果は、Janpahalが10都市のプラットフォーム労働者1,000人を対象に実施した全国調査によるものである。

「これらの調査結果は、職業上のリスクを管理する責任が、主として個人に負わされており、プラットフォームからの制度的支援や、社会保障制度との効果的な連携が限定的であることを示している」と報告書は指摘した。

また調査では、労働者の59.3%がプラットフォームから安全研修や安全に関する情報や支援をまったく受けておらず、さらに23.4%が、提供された研修は不十分だったと回答した。
包括的な安全研修や支援を受けたと回答したのは、わずか7.5%だった。

報告書によると、回答者の50%は、福祉や社会保障制度を利用しやすくすることを目的とした、政府による非組織部門労働者のデータベース「e-Shram」ポータルに登録していなかった。

「したがって、プラットフォーム労働者のかなりの割合が、正式な労働者として認識されず、「Pradhan Mantri Jan Arogya Yojana(PMJAY)」*による健康保険や、「PM Suraksha Bima Yojana(PMSBY)」*による傷害保険など、重要な社会保障給付を利用できていない。
さらに、未登録であることによって、ギグワーカーとプラットフォーム労働者を明示的に対象に含めるようになった『2020年社会保障法典(Code on Social Security, 2020)』で想定されている、より幅広い保護を受ける機会も制限される」と報告書は指摘した。

道路上の安全も、労働者にとって大きなリスク要因だった。
安全上の事故や問題を経験したと回答した人のうち、62.2%が車両との衝突寸前の経験があり、38%が道路状況に起因する負傷、27%が交通事故を経験したと回答した。
回答者の約66.4%は、仕事に自分のスクーターまたはオートバイを使用していた。

こうしたリスクは長時間労働によってさらに増大している。
回答者の57%以上が週49時間を超えて働き、このうち23.4%は週70時間を超えて働いていた。
また、プラットフォーム労働が多くの人にとって長期的な生計手段となっていることも調査で明らかになった。
72.3%がこの分野で1年以上働いており、18.4%は5年以上働いていた。

報告書は、労働安全衛生上の保護をプラットフォーム労働者にも拡大し、仕事に伴うリスクを特定して軽減する責任をプラットフォーム側に負わせるよう求めた。
また、プラットフォーム労働の多くが従来型の事業所の外で行われていることを踏まえ、道路、公共スペース、顧客の敷地を正式に「職場」として認めることを提言した。

さらに、事故やその他の職業上のリスクに対する保護を強化し、プラットフォーム労働者が利用しやすい、標準化された保険商品を整備することも求めた。

報告書は、暑さをプラットフォーム労働者にとっての「職業上の危険要因」として認識すべきだとしている。

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*プラットフォーム労働者: オンラインのプラットフォームを介して仕事を受注し、報酬を得る労働者。インドの「2020年社会保障法典」では、従来型の雇用関係の外で、オンラインプラットフォームを通じてサービスなどを提供する働き手として定義されている。

*Pradhan Mantri Jan Arogya Yojana(PMJAY): インド政府の公的医療保障制度「Ayushman Bharat Pradhan Mantri Jan Arogya Yojana(AB PM-JAY)」。対象となる世帯に、入院を中心とする二次・三次医療について、1世帯当たり年間最大50万ルピーの医療保障を提供する。

*PM Suraksha Bima Yojana(PMSBY): インド政府による低額の傷害保険制度。事故による死亡や障害を対象とし、所定の条件に応じて最大20万ルピーの保険金が支払われる。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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