インド都市改造計画の19年後

 

Posted on 31 May 2026 21:00 in アーカイブ特集 by Yoko Deshmukh

確かに、あのころのわたしは、プネーそしてインドが今のような発展をするとは、なかなか信じられなかったな。



本日は2007年の記事について、「ChatGPT」先生に調べてもらった。

インドのメトロが大変身!?5億ドル投入で都市改造へ 2007年05月31日

この2007年の記事で語られていた構想は、その後、インドの都市開発政策の中心となり、実際に多くの都市で大規模な変化を生み出した。
一方で、期待されたほど進まなかった部分も少なくなかった※1。

まず、2007年当時の計画として、記事で触れられていた「Jawaharlal Nehru National Urban Renewal Mission(JNNURM)」は、実際にはインド初の本格的な都市近代化プログラムとなった。

2005年に開始され、当初7年間の計画だったが、その後2014年まで延長された。
65の主要都市を中心に、水道、下水道、交通、都市再開発などへ巨額投資が行われた※2。

実際に起きた変化として、まず都市バスが大きく変わった。

多くのインド人にとって最も目に見える変化は、「JNNURMバス」と呼ばれた低床式エアサスペンションバスの大量導入だった。

デリー、バンガロール、プネー、ハイダラーバード、アーメダーバードなどで大量導入され、高齢者、女性、障害者の乗降が容易になり、また老朽化した市営バスが更新されたと言われている※3。

次に、メトロ鉄道時代が本格化した。

2007年当時、実質的に本格メトロはデリーしか存在しなかった。

しかしその後、バンガロール「Namma Metro」をはじめ、チェンナイ、コーチ、ジャイプル、ハイダラーバード、ムンバイーなどにも整備されていった※4。

もちろんメトロ整備はJNNURMだけの成果ではないが、「都市交通へ巨額投資する」という考え方を全国レベルで定着させたという意味で、影響は大きかった。

第3に、水道・下水道の大幅改善である。

実際、予算の大部分は交通ではなく、アーメダーバード、スーラト、プネー、インドールをはじめとする都市の上下水道と排水設備の整備に使われた※3。
世界経済フォーラムも後年、「飲料水問題の改善にはかなり成功した」と評価している※1。

そして、筆者にとっても記憶に新しいのは、空港が予想以上に大変身した、という点である。

実際にはJNNURMとは別の政策だったが、2007年以降、デリー空港、ムンバイー空港、バンガロール空港、そしてハイダラーバード空港は、劇的に近代化された。
2007年ごろのインドを知る人間から見ると、現在の空港はまったく別世界である。

ただし重要な点として、JNNURMは巨大プロジェクトだったが、実施面では深刻な課題も抱えていた。

2014年終了時点で、承認された約1345案件のうち、完成していたのは半数未満だった※5。

主な理由は、自治体の能力不足、技術者不足、資金調達能力不足、土地取得問題、政治的対立などが挙げられている※1。

特に小都市は、プロジェクト報告書(DPR)を作る専門人材すら不足していた。
このため、記事中で期待されていた中小都市への波及は、大都市ほどには進まなかった※6。

現在から見ると2007年の記事は、インドが本格的に「都市インフラ国家」へ転換する直前の空気をよく伝えている。

実際、その後の「Smart Cities Mission」「AMRUT(Atal Mission for Rejuvenation and Urban Transformation)」「Metro Rail Policy」「Urban Transport Mission」などの政策は、ほぼすべてJNNURMの経験を土台としている※1。

もし2007年の記事を書いた記者が2026年のインドを見たなら、おそらく最も驚くのは「都市改造そのもの」よりも、デリー、バンガロール、ハイダラーバード、プネー、アーメダーバードなどが、当時とは比較にならない規模の都市圏へ成長していることだろう。

一方で、交通渋滞、水不足、市街地の無秩序な拡大、住宅価格高騰といった問題も依然として残っている。

このためJNNURMは「都市問題を解決した計画」ではなく、インドの都市近代化を本格的に始動させた最初の巨大プロジェクトとして記憶されている※3。

[1]: https://www.weforum.org/stories/2016/04/how-can-india-finance-urban-infrastructure/ "How can India finance urban infrastructure? | World Economic Forum"
[2]: https://www.pib.gov.in/newsite/PrintRelease.aspx?relid=92583 "JNNURM: Fueling Urban Renewal"
[3]: https://economictimes.indiatimes.com/opinion/et-commentary/jnnurm-largest-urban-renewal-programme-comes-with-strings-but-succeeding-in-places/articleshow/32176241.cms/ "JNNURM: Largest urban renewal programme comes with strings, but succeeding in places - The Economic Times"
[4]: https://economictimes.indiatimes.com/news/politics-and-nation/over-500-projects-under-jnnurm-completed-upa/articleshow/20213419.cms "Over 500 projects under JNNURM completed: UPA - The Economic Times"
[5]: https://www.business-standard.com/article/economy-policy/urban-renewal-mission-only-half-the-projects-completed-114041000134_1.html "Urban Renewal Mission: Only half the projects completed"
[6]: https://journals.sagepub.com/doi/10.1177/0049085714548546 "Urban Development Programmes in India: A Critique of JnNURM - Debolina Kundu, 2014"
 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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