音声主導AIで広がるデジタル包摂の可能性

 

Posted on 31 Jan 2026 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

AIに人類をくまなく包摂した先に待っているのは、どんな世界なんだろうな。



母国語と音声を主体とした人工知能(AI)システムは、これまで排除されてきた層にまで、デジタルサービスの範囲を拡大することができると、29日(木)に発表された「経済調査(Economic Survey)2025-26」は指摘している。

Voice-first AI systems in native languages to make large populations digitally inclusive: Economic Survey

母国語での対話を可能にし、低価格デバイスでも効果的に機能することで、デジタル包摂と規模を整合させることができると、報告書は述べている。

インドは現在、AI研究成果の貢献度において世界トップクラスに位置し、人工知能分野における豊富な技術人材を擁するとともに、AIリテラシーの高い労働力を有している。
2024年時点では、その規模は米国に次ぐ水準であることが調査で明らかになった。

世界の金融市場は、AIなどの新技術がもたらす影響への対応に苦慮していることを、この調査は認めている。
IMFの2025年10月の金融安定性報告書(Financial Stability Report、FSR)は、世界の投資家が最終的に同様のAIモデルを導入する可能性があるため、金融市場で群集行動*が発生するリスクが高まっていると予測している点を、同調査は強調した。

報告書は、過去数十年と比較して、投資家がソーシャルメディアを通じて発信されるミクロ情報のシグナルに、非常に敏感になっていると指摘している。
こうした傾向は、世界の金融市場におけるショックの期間が長期化し、かつ増幅される可能性を示唆している。
同時に、テクノロジー株は過大評価のリスクを新たに抱えている。

ChatGPTが2022年11月に開始されて以来、AI関連株は、S&P 500のリターンの75%、利益成長の80%、設備投資成長の90%を占めている。

WTOは、AIが2040年までに世界貿易を34~37%押し上げる可能性があり、デジタルで提供されるサービスは、貿易コストの削減と生産性向上を背景に、約42%拡大すると推定している。

デジタル配信可能なサービス貿易の10%増加は、国境を越えたAI特許の引用数の2.6%増加と関連しており、貿易とAI主導のイノベーションが相互補完的な関係にあることを示していると、報告書は述べている。
「インドは、強力なIT-BPMエコシステム*と急速に拡大するAI人材基盤に支えられ、これらのトレンドの恩恵を受ける好位置にいる」と、同報告書は指摘している。

インドのデータセンター容量は、急増するデータ消費、急速なクラウド導入、そしてAI利用の拡大を背景に、2025年第2四半期時点で約1.4GWに達し、2030年には約8GWに拡大すると予測されている。

AIデータセンターは、機械学習やディープラーニングといったワークロードの膨大な計算需要を満たすために設計された、高性能に特化した施設である。
同調査はNasscomのデータを引用し、世界のデータの約20%を生成しているにもかかわらず、インドがホストするデータセンターは、世界約1万1,000か所のうち約150か所、全体の約1%にとどまると述べている。

その上で同調査は、「データセンターはエネルギー消費量が非常に多く、諸刃の剣でもある。マレーシア(ジョホール)、日本、ベトナムといった新興ハブとの競争が激化する中、インドが世界的なAIデータセンターハブとしての地位を確立するには、エネルギー不足などの構造的制約への対応が不可欠だ」と強調している。

*群集行動(herd behaviour):
投資家や市場参加者が、独自の分析よりも他者の行動に追随して意思決定を行う現象。市場の変動を増幅させる要因となる。

*IT-BPMエコシステム(Information Technology–Business Process Management ecosystem):
ソフトウェア開発、ITサービス、BPO(業務プロセス外部委託)などが相互に連携し、人材・企業・技術基盤が集積した産業構造。
 


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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

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