補助金が生む悪循環: インド稲作と水ストレス
Posted on 18 Jan 2026 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
写真は「おコメ」で自らのフォトギャラリを検索したら出てきた、コルカタの美味ベンガル料理店です。
おいしいインドのお米、その栽培に、この国では貴重な資源でもある水、特に地下水が大量に消費されている。
そのことを詳しく伝える記事を「The Hindu」が伝えていた。
India’s status as world’s rice leader augurs water crisis
インドは2025年、中国を抜いて世界最大のコメ生産国となった。
コメ輸出量は過去10年間でほぼ倍増し、直近の会計年度では2,000万トンを超えている。
一方で、コメ生産地の農家らは、それほど祝賀ムードではない。
米作によって、すでに水位の低い帯水層が持続不可能な水準まで枯渇しつつあり、農家がさらに深い井戸を掘るために多額の借金を強いられているとの懸念が広がっている。
コメの産地であるハリヤーナー州とパンジャーブ州で、同紙が農家50人と水利・農業当局者8人に取材したところ、10年ほど前はおよそ9メートルの深さで地下水にたどり着けたと証言している。
しかし過去5年間で地下水の枯渇が加速しており、現在では井戸の深さを24〜61メートルにする必要があるという。
これは、政府のデータやパンジャーブ農業大学(Punjab Agricultural University)の調査によって裏付けられている。
同時に、米栽培を奨励するための政府の補助金が、農家による水消費量の少ない作物への転換を阻害していると、カタールのジョージタウン大学(Georgetown University)の南アジア政治専門家、ウダイ・チャンドラ(Uday Chandra)氏は指摘する。
補助金には、過去10年間で約70%上昇したコメの最低価格や、農業用水の汲み上げを奨励する多額の電力補助金などが含まれる。
ワシントンのシンクタンク、国際食糧政策研究所(International Food Policy Research Institute)のアビナッシュ・キショーレ(Avinash Kishore)氏は、その総合的な影響について、世界でも屈指の水ストレスの高い国であるインドにおいて、農家に大量の地下水を消費させるための対価を払っているようなものだと指摘する。
インドは、2023年に中国を抜いて世界最大となる14億人を超える国内人口を養うため、必要量をはるかに上回るコメを生産している。
国内の多くの地域では、農家は表流水と地下水を組み合わせた灌漑に依存している。
一方、パンジャーブ州とハリヤーナー州の農家は、一般的に地下水への依存度が高い。
この依存の高さから、両州の稲作農家はモンスーンの影響を特に受けやすくなっている。
過去2年間、モンスーンの雨量は豊富だったが、農家は過剰な水を汲み上げており、特に2州の大部分では、帯水層がインド政府によって「過剰利用」または「危機的」と分類されている。
2024年と2025年の政府データによると、両州では毎年、帯水層が自然に涵養する量を35%から57%上回る地下水が汲み上げられている。
既存の井戸のみを水源とする農家は、より長いパイプや、より強力なポンプに多額の費用を費やしている。
かつて政府に作物価格に関する助言を行っていた農業経済学者のアショーク・グラティ(Ashok Gulati)氏によると、2州でのコメ1キログラムの生産には3,000〜4,000リットルの水が消費されるが、これは世界平均より20〜60%多いという。
インド当局が、補助金と地下水汲み上げの悪循環を断ち切ろうとしている兆候も、いくつか見られる。
ハリヤーナー州は昨年、農家に対し、水消費量が大幅に少ないキビなどの作物への転換を促すため、1ヘクタールあたり1万7,500ルピーの補助金支給を開始した。
しかし、この補助金は1栽培シーズンのみに適用されるものであり、大規模な導入には至っていない。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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