急成長するインド航空市場 旅客機は自国で造れるのか

 

Posted on 10 Jan 2026 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

クイズ: ここは、どこの空港でしょう?



最近はAviation系YouTuberさんにハマっていて、特に「Sam Chui」さんの動画は航空業界の裏側をたくさん特集していることから、学びも多くてよく観ている。

またSamさんの動画を観ているとおすすめで表示されるようになった、やはりAviation系として活動されている「Josh Cahill」さんの動画では、ご自宅(?)がスリランカにあるためか、南アジアの航空会社の搭乗体験をよく紹介していたので、よく観ていた。
しかし動画内で、なぜか「Sam」さんに対する執拗な悪口が頻繁に出てくるようになったことから、最近はあまり観なくなった。

ただ、当の「Josh」さんが、インドの特に地方小都市への民間航空便の不足について指摘しつつ、そうした小都市を中心に運航している「Star Air」を紹介した動画は、パイロット氏の来歴ともに、とても興味深く視聴したので、ここにも貼っておきたい。



 

そうしたインドの航空シーンについて、誰もが抱いている疑問を、BBCのJugal Purohit氏による記事が詳しく伝えていた。

India wants more passenger jets. Can it also build them?

世界で最も急速に成長している航空市場とされるインドでは、国内市場の90%以上をインディゴ(IndiGo)とエア・インディア(Air India)が占めている。
旅客需要の急増を背景に、2社だけで今後10年間に約1,500機の航空機を発注している。

その供給源は、世界の航空機市場の86%のシェアを握るボーイング(Boeing)とエアバス(Airbus)に依存しており、2024年には「史上最大」とされる納入遅延に直面している。

これにより、「インドは自国で旅客機を製造すべきか」という、古くからある疑問が再燃している。

こうした見通しは、昨年10月にインドとロシアがモスクワでSJ-100旅客機をインド国内で製造するための初期合意に署名したことで注目を集め、国産航空機への期待が高まった。
しかし、両国間の共同製造計画は、実現までにまだ多くのハードルを乗り越えなければならない。

SJ-100は最大103人の乗客を輸送できる双発機で、製造元の「United Aircraft Corporation(UAC)」によると、すでに複数のロシア国内航空会社で就航しているという。

インド政府はこの機体を「ゲームチェンジャー」と称し、短距離路線への投入を計画している。
しかし専門家らは、多くの点が依然として不透明であり、プロジェクトのコストや実現可能性に疑問を呈している。

最大の懸念のひとつは、ロシア企業がインド国内で迅速に生産体制を構築し、規模を拡大できるかどうかだ。

SJ-100の製造元である同社は、2008年から2020年の間に約200機のSJ-100を納入したとしている。
しかし、2022年にロシアがウクライナ侵攻を開始したことで、その軌道は一変した。

この施設では、2人乗りの「Hansa」機や5人乗りの練習機を開発してきたが、大型旅客機の開発はいまだ実現していない。

西側諸国の制裁により主要なスペアパーツの供給が停止され、同社は2023年に約40のシステムを交換し、「輸入代替」型の機体を運用せざるを得なくなった。
欧州の航空安全規制当局は同機の認証を取り消し、SJ-100をはじめとするロシア製航空機の領空通過を事実上禁じた。

一方、インドは長年にわたり旅客機の国産化を目指してきたが、その成果は限定的だった。

1959年、政府は「中小型民間航空機」の開発を目的として「National Aerospace Laboratories(NAL)」を設立した。

1960年代には、インドは外国のライセンスに基づいて旅客機を製造していた。
国営の「Hindustan Aeronautics Limited(HAL)」は、英国設計の「Avro 748」ジェット機を数十機製造し、民間航空会社と軍の双方で使用されたが、その後段階的に廃止された。

1980年代には、インドはドイツのドルニエ(Dornier)社と提携し、19人乗りのジェット旅客機を製造した。
その一部は現在でも軍用機や一部の民間路線で使用されている。

こうした流れの中で、インドは独自の小型旅客機の設計にも取り組んできた。

2000年には、NALの15人乗り「Saras」機の製造支援について、インドはロシアと協定を締結した。
「Saras」機は2004年5月に初飛行を行ったが、試作2号機の事故でパイロット3名が死亡し、2009年にプロジェクトは中断された。

同プロジェクトは数年後、政府によって次の試作機である19人乗りの「Saras MK2」として復活したが、認証を待つ段階のまま頓挫している。

同様のプロジェクトのひとつである地域輸送機(RTA)も、長年にわたりほとんど進展が見られない。
ロシアのSJ-100に匹敵する90人乗り機の実現可能性調査報告書は2011年に提出されたが、それ以降、大きな進展はない。

航空専門家によると、インドの航空機製造は長らく困難に直面してきたという。

「NAL」のアベイ・パシルカー所長(Dr Abhay Pashilkar)は、最近まで「大きな国内需要の欠如」に加え、高度なスキルを持つ人材の不足や国内製造エコシステムの小規模さが、この分野の成長を阻害してきたと指摘している。
同氏はさらに、打開策は「インド国内にとどまらず、世界のメーカーと連携すること」だと付け加えている。

では、SJ-100プロジェクトは本当にゲームチェンジャーとなり得るのだろうか。

HALの元広報担当者であるゴパル・スータール(Gopal Sutar)氏は、インド独自のプロジェクトが完成からほど遠い現状を踏まえ、この計画が「現実的なアプローチ」を提示していると述べた。

ロシア政府にとっても、SJ-100の普及は、西側の技術に頼らずに民間航空機を製造できることを示す証明となるだろう。

この合意には明確なトレードオフが伴い、インド政府が描く航空機製造の将来像には疑問符が付くものの、スータール氏のような専門家は、同国にとっての「揺るぎない支持者」としてのロシアの役割が依然として重要だと主張している。

航空機の可用性は、インド航空産業が抱える課題の一部に過ぎない。
急速な拡大は、乗務員をどれほど迅速に訓練できるかにも左右される。

昨年12月初旬、インディゴは「パイロットの勤務表の計画が不十分だった」として数千便を欠航し、数万人の乗客が数時間、あるいは数日間足止めされた。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments

Leave a Comment..

Name * Email Id * Comment *