ローイ氏著書の表紙写真めぐる訴え、最高裁が棄却

 

Posted on 05 Dec 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

この書籍、読んでみたかったんだよな。写真は2009年になぜかタイの空港で撮っていたものです。



インド最高裁判所は5日、作家アルンダティ・ローイ(Arundhati Roy)氏と、出版社であるペンギン・ランダムハウス・インディア(Penguin Random House India)に対し、最近出版された同氏の著書「Mother Mary Comes to Me」の表紙に、著者がビディ(インドの葉巻)を持っている写真を掲載したことはタバコの使用を美化しているとする訴えを起こした請願を却下した。

Supreme Court rejects plea that Arundhati Roy’s book cover promotes smoking

作家も出版社も、この表紙写真は本の販売促進に利用する目的ではなかったと述べた。
裁判所はまた、出版社がすでに免責事項を掲載しており、表紙の写真は喫煙を推奨するものではないことを明確にしていると指摘した。

最高裁判所長官は、申立人側の弁護士に対し、問題の書籍を読んだのか、またその内容について異なる見解を持っているのかを尋ねた。
これについて同弁護士は、依頼人の問題は表紙に限られたものであり、そのため書籍の内容を調べる必要はないと述べた。
その上で、法定の健康警告「タバコはがんの原因となる、タバコは死に至らしめる(tobacco causes cancer, tobacco kills)」という表記がなく、しかも著名な作家である被告人が「ビディを吸っている写真を自署の表紙に掲載している。ガンジャ(大麻)かもしれないのに、ひどすぎる!」と憤慨した。

判事は、この写真は広告を目的としたものではなく、法定の健康警告表示は必要ないと述べた。
「免責事項は法定警告ではない。この免責事項は、著者が手にタバコを持っているこの写真が、喫煙を助長する目的ではないという考え方を、目にする人々に表明するためだけのものである。つまり、この写真は、法定警告表示が必要なタバコ製品の広告ではない」と判事は説明した。
弁護士側は、この免責事項は実際には「タバコ製品(広告禁止および取引・商業、生産、供給、流通の規制)法(Cigarettes and Other Tobacco Products (Prohibition of Advertisement and Regulation of Trade and Commerce, Production, Supply and Distribution) Act、COTPA)」第5条3項に基づき、著者と出版社を法的責任から守るための「事前対策」であると主張した。

バグチ判事は、問題の写真はCOTPA第5条3項を適用させる目的で書籍の宣伝に利用されたものではないと述べた。
ケーララ高等裁判所は以前、この請願を却下し、弁護士に対し、懸念事項についてはCOTPAに基づいて設置された運営委員会に申し立てるよう指示していた。
訴えを却下するにあたり、最高裁判所長官は「著者も出版社も著名な人物であり、宣伝のためにこの写真を使う必要はない」と指摘した。

請願では、ローイ氏の(表紙上で示される)行為が若者や読者、特に未成年や女性に悪影響を与える可能性があるとの懸念を表明していた。
また、この写真が国家タバコ規制プログラムを含む全国的な禁煙キャンペーンに大きな打撃を与えるだろうと主張し、現在の表紙が付いた書籍のすべての在庫を回収し、写真を削除した上で再出版することを求めていた。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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