チェンナイ・メトロ初体験記: 都市鉄道とタミルの人びと

 

Posted on 10 Jul 2025 21:00 in トラベルASKSiddhi by Yoko Deshmukh

近年の人間関係でだいぶ傷ついてしまったわたしにとって、チェンナイの人びとのまっすぐな温かさには癒やされます。



チェンナイ・メトロ(Chennai Metro)を、アンナー・サライ(Anna Salai)のAG DMS駅から利用した。
チェンナイ・メトロは、タミル・ナードゥ州政府とインド中央政府が共同出資する「Chennai Metro Rail Limited(CMRL)」によって運営されており、2015年に部分開業した比較的新しい都市高速鉄道である。
公式ウェブサイト(CMRL公式サイト)によれば、整備と運営は日本の円借款を含む国際的な協力により進められてきた。

現在、「Blue Line」(ライン1)と「Green Line」(ライン2)の2線、総延長54.1キロメートルが運行しており、パープルライン(Purple Line)、イエローライン(Yellow Line)、レッドライン(Red Line)の3線が新たに建設中である。
これらが完成すれば、総延長は118.9キロメートルとなる見込みであり、チェンナイ都市圏および近郊の移動の利便性を飛躍的に向上させると予測される(出典: Wikipedia「Chennai Metro」)。

実際、市内そこかしこで大規模なメトロ工事が進行中で、交通渋滞はだいぶ深刻になっている。

ところで、ある日別々に利用したウーバー(Uber)運転手氏2名が、こうしたやむを得ない事情により、いずれも送迎に想定より大幅に時間がかかったため深く詫びてきたことは、わたしにとっては衝撃に近い、新鮮な体験であった。
だいじょうぶ、あなたのせいではないのだから、と答えたものの、このような不可抗力であればなおのこと、プネーなら「自分のせいではないし」としれっとするだけで、謝ってくれる運転手さんなんか皆無だよ。

これ以外にも、チェンナイでは「ありがとう」と「ごめんなさい」がきちんと言える人々に、少なからず出会った。
あまり悪口を言うべきではないけれど、プネーやマハーラーシュトラ州では、プライドばかりエベレスト登頂しちゃって、人間として基本中の基本の態度がすっぽり抜けている人ばかりで、それも「仕方がない」とあきらめてきた。
しかし、タミルの人びとは違うのかもしれない。
そして、こうした最低限の礼儀を身に着けているからこそ、海外でも大活躍できているのだろうか、などと飛躍するのであった。

2024年時点で、延べ利用客は1億人を超えたと報じられており、地域の交通インフラとして確実に定着しているようだ(CMRL広報資料より)。

まず、アンナー・サライおよびエグモア(Egmore)周辺の沿線は地下を通っているため、駅に向かうだけで涼しい風が吹いてくる。
すでにキオスク的な軽食スポットも整備されている。

平日の午前10時過ぎの駅はあまり混雑しておらず、窓口でのチケット購入も電子決済が可能なため、とてもスムーズだ。
お決まりの荷物検査を経て、いざ改札へ。2次元バーコードをかざすとゲートがオープンする仕組みで、都市鉄道としての完成度が高い。

地下のプラットフォームに降りると、天井から床まで覆うフルスクリーンタイプのホームドアが設置されており、洗練された雰囲気だ。
安全面でも先進的であり、一瞬そこがチェンナイであることを忘れてしまう。
それほど待つこともなく滑り込んできた電車に乗り込むと、車内はそこそこ混んでいる。
特にエグモアやセントラル方面へのアクセスが便利なため、日中でも一定の利用があるようだ。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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