マイソールの高校生が開発、省エネ型調理ソリューション「Agnipath」
Posted on 07 May 2025 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
日本企業も自社の生き残りをかけて、インドで「イノベーション・コンテスト」を開催してもいいのではないかな。
カルナータカ州マイソールの高校生(10年生)2人が設計した、省エネ型の屋台向け調理ソリューション「Agnipath」が、教育省から製品開発および商品化に向けた資金提供を受ける資格を得たという話題を見つけた。
Mysuru students come up with sustainable cooking solution to help street food vendors
この2人は、マイソールの公立校「Excel Public School」(EPS)に通うシュルタキールティ・V(Shruthakeerthi V.)さんとアディティ・V(Aditi V.)さん。
彼女たちは、「Atal Innovation Mission」(AIM)と政府系シンクタンク「NITI Aayog」が共同開催した「School Innovation Marathon」(SIM)に参加し、インド全土から集まった約10万件の応募作品と競い合った末、82,221ルピーの助成金を獲得した。
この資金により、今後12~14か月以内に最小限実行可能な製品(MVP)を開発し、ターゲット市場への投入を目指す。
AIMはインド最大級の学生イノベーション・コンテストとされており、参加学生たちはそれぞれの地域社会が抱える課題を特定し、実用的なプロトタイプを開発することが求められる。
「Agnipath」プロジェクトでは、ガスコンロの調理効率を高める炎誘導機構を開発し、主に屋台や小規模な飲食店向けに、燃料消費量の削減と環境負荷の軽減を目指している。
2人は、「Excelsoft Technologies」の研究スペシャリストであるゴピナート・スブラマニアム(Gopinath Subramaniam)氏の指導を受けながら、4か月半かけて「Agnipath」を開発した。
スブラマニアム氏は、研究手法、設計原則、プロトタイピング技術、プレゼンテーション準備に至るまで、実践的な指導を行った。
まず彼女たちは、屋台事業者へのインタビューを通じて、日常の調理における燃料費や非効率性の課題を把握した。
次に、既存のガスコンロ設計を研究し、熱利用率の低さ、LPガス消費量の多さ、バーナーと鍋の間に生じる大きな隙間、断熱材不足による炎の拡散といった問題点を特定。
これらが事業者のコストを押し上げ、場合によっては収益の最大20%ものロスにつながっていることを突き止めた。
この課題に対処するため、2人は炎の分布を最適化し、熱損失を低減するための初期設計をスケッチし、プロトタイプを制作した。
シングルバーナーコンロに鉄製のカダイ(鍋)を載せてテストを重ねながら、ガイドの形状を改良し、熱伝達を最大化するために幾度も試行錯誤を繰り返した。
今後は、教育省イノベーション・セル(Innovation Cell)の支援を受けながら、設計改良を進め、大型業務用バーナーへの適用テストにも拡大する予定だ。
最終的には2026年8月までに、「Agnipath」を5,000ルピーおよび7,000ルピーの2モデルで製品化し、業務用小売チャネルやAmazonを含むeコマースプラットフォームを通じて販売・流通することを目標としている。
彼女たちが通う「EPS」からは、これまでに300件以上のイノベーションプロジェクトが生まれている。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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