猫へのペースメーカー移植、インド初の症例か
Posted on 08 May 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
「ピルちゃん、早く元気になるのよ。」By プネー在住ドラミさん
今月5日、プネーの動物病院で、7歳のオス猫ピル(Pill)ちゃんに、ペースメーカーが埋め込まれたとの話題を見つけた。
Cat with poor heart rate gets pacemaker, a first for India
ピルちゃんは心拍数が低く、平均的な成猫が1分間に160回であるのに対し、50回台にまで急落していた。
猫にペースメーカーを埋め込む手術は、世界でも極めて稀で困難な手術とされている。
ピルちゃんは現在も入院中であるが、順調に回復に向かっている。
ヴィシュラントワディ(Vishrantwadi)在住の人間のパパによると、数年前まではピルちゃんは家の中を軽快に飛び跳ね、戸棚に登るのを得意としていたが、2年ほど前から椅子に登ることさえできなくなってしまったという。
ピルちゃんは持病として歯肉炎と心筋炎を患い、心筋が薄くなる症状が見られていた。
主治医は病歴から、何らかの感染症が心筋炎の引き金になった可能性があるとみている。
さらに、今年3月に心拍数が50〜58に低下し、『Ⅲ度房室ブロック(third-degree AV block)』と診断され、生命を脅かす状態にまで悪化した。
手術は、プネーの「Raintree Veterinary Clinic & Rehabilitation Centre」の獣医師フェルナンデス(Dr. Leila Fernandez)氏が、人間の心臓外科医と心臓専門医の2名の指導を受けながら執刀した。
フェルナンデス医師によれば、「ピルは心室壁が非常に薄かったため、手術は極めて困難であった。また、手術中の麻酔管理も非常に複雑であった」という。
ペースメーカーは心臓の表面に埋め込まれた。
そのため、胸部を切開し、心臓を露出させた上で、2本の電極を表面に縫合した。
また、「ジェネレーター」と呼ばれる装置は、脇腹の筋肉(the muscles of the flank)の間に埋め込まれた。
フェルナンデス医師によれば、これはおそらくインドにおいて猫にペースメーカーを埋め込んだ初めての症例であり、このような処置は海外でもほとんど例がないという。
「インドの獣医心臓学にとって大きな前進である」と述べている。
パパによれば、ピルちゃんは回復に向かっているとのことである。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
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