インド-EU自由貿易協定への道: ドイツ大使が語る協力強化と経済的見通し
Posted on 04 Apr 2025 21:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh
画像は2016年にポルトガルへのトランジットのための着陸直前に撮ったフランクフルト上空です。
フィリップ・アッカーマン(Dr Philipp Ackermann)駐印ドイツ大使が4日、新政権下でもインドとの良好な関係を維持し、サービス部門、防衛、および現在交渉中のEUとの自由貿易協定(FTA)などの分野で協力を強化すると述べた。
"Time Is Good": German Envoy On Free Trade Agreement With India
また(インドからドイツへの)移民政策も強化する可能性を示唆している。
同大使は、「ドイツでの労働市場ではインド人をはじめとする熟練労働者を切実に必要としている。またドイツ企業は投資の多様化を図るためにも、近年インドへの注目を高めている。2か国がともに意見交換することは、特に昨今の地政学的状況を見ても不可避である」と話した。
ドイツ国内では、2月に行われた総選挙で右傾化したほか、経済減速、欧州での戦争、トランプ米大統領の強硬姿勢など多くの問題に直面している。
経済面では、ドイツとEUはインドとのFTA締結を目指している。
「ドイツとEUは自由貿易を支持する。インドとFTAを締結するための交渉を続けていく。(そのためにインドが課す)物品に対する関税の見直しを、これまで同様訴えていく。経済政策を策定するのはどの国にも自由裁量に委ねられているが、インドもEUも、ともに大きな市場同士が腰を据え、関税の引き下げとFTAの実施に努める時が来たと思う。率直に言えば、EUとインドは2025年末までにFTAの交渉を開始すべきだ。今や緊急事項だ。これはトップレベルから来るべきものであり、個人的にはかなり自信を持っている」と大使は述べた。
実際、2月末にモーディー首相と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン(Ursula von der Leyen)委員長は、年末までにFTAを締結するよう指示を出し、交渉を加速している。
EUとインドとの自由貿易の見通しに関するドイツの見解について、大使は「投資が増えるので、インドでのビジネスにとってゲームチェンジャーになると思う」と答えた。
EUとインドの経済規模と貿易量:
EUはインドにとって最大の貿易相手国であり、2023年の物品貿易総額は1,240億ユーロに達し、インドの総貿易の12.2%を占めている。
サービス貿易も大幅に成長し、2023年には約600億ユーロにほぼ倍増した。
現在の課題:
EUは自動車、ワイン、スピリッツの関税引き下げを求めている一方、インドは自国の医薬品や農産品のアクセス拡大を目指している。
参照: The Economic Times
規制基準の違い:
特に環境および労働規制に関する基準の相違が交渉の妨げとなっている。
参照: 同上
地政学的要因:
トランプの再選により、世界的な貿易動向に不確実性をもたらし、交渉プロセスに影響を与える恐れがある。
参照: Carnegie Endowment
About the author
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments