「The Hindu」で、ネパールの食文化を代表するタカリ(Thakali)料理がインドで評価されているという興味深い記事を見つけた。
What is Thakali cuisine? The Himalayan food tradition arriving in India
ネパールの食文化といえば、モモ(蒸し餃子)やダール・バート(豆スープとご飯)がよく知られているが、その食文化は地域固有の食材や味によっても形作られてきた。
その代表格の一つがタカリ(Thakali)と呼ばれる料理である。
タカリ族は、ネパール北中部ムスタン(Mustang)県のある地域を故郷とする民族であり、ネパールでも有数の豊かな民族言語集団として知られている。
国勢調査や各種調査によれば、その人口は世界全体で約1万5,000人と推定されている。
このタカリ料理を、カトマンズを拠点とする起業家、Vivek Man Sherchan氏がインドに紹介しようとしている。
元エンジニアの同氏は、ネパール国内で「Jimbu Thakali」というレストランチェーンを展開しており、近くインド初店舗をグルガオンにオープンする予定だ。
デンマークの研究者Michael Vinding氏は、1998年刊行の著書『The Thakali: A Himalayan Ethnography』の中で、1855~56年のネパール・チベット戦争が、タカリ族に繁栄と政治的影響力をもたらした転機だったと指摘している。
当時の首相Jung Bahadur Rana率いるネパール軍に対し、タカリ族は兵士や通訳として協力した。
その功績により、彼らは塩の交易、鉱業、家畜や食品・香辛料の輸出入、さらには関税徴収業務など、多くの商業機会を得ることになった。
しかし1927年、政府は旧来の関税徴収制度と塩交易の独占権を廃止した。
その結果、伝統的な商人であったタカリ族は、ムスタンからネパール南部へと移住を進める一方で、農業や牧畜業に従事し、さらにホテルやレストラン経営にも進出していった。
こうした交易活動を通じた食文化の交流は、ヒマラヤの食材、塩交易路を通じて運ばれた香辛料、そしてチベット文化の影響を融合させた独自のタカリ料理を生み出した。
代表的な食材として、ソバ、雑穀、ジンブー(Jimbu、ネギやニンニクの仲間に属する香草)、ティムール(Timur、ネパール山椒とも呼ばれる香辛料)、スクティ(Sukuti、干し肉)、グンドゥルク(Gundruk、発酵させた葉野菜)、シンキ(Sinki、発酵させた大根の根)などがあり、また古くからの交易路を通じて、ターメリック、クミン、ショウガ、フェヌグリークなど、インドの香辛料も取り入れられていった。
タカリ料理の代表メニューとして、ダール・バート、タルカリ(Tarkari、野菜料理)、アチャール(Achaar)、グンドゥルク、セクワ(Sekuwa、炭火焼き肉)、マス(Masu、肉のカレー)、ディド(Dhido、ソバや雑穀で作る濃厚なお粥)、ゴケン(Ghoken、ソバのパンケーキ)などがある。

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