トーストと禅とハローキティー: インド発、謎の日本語文化

 

Posted on 12 Apr 2026 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

このシャツは入手してみたい気持ちが強いです。



プネーのモールを歩いていると、ときどき意外な既視感に出会うことがある。
それは、日本語である。
つまり、日本ではかえって手に入らなさそうな日本語表記の商品だ。

一時期、この手の「日本語デザイン」といえば、プネーの主要モールには必ず入っているイギリスの高級カジュアル服ブランド「Superdry」が話題だった。
意味の分からない漢字やカタカナを大胆にあしらったデザインは、いかにも「それっぽい」雰囲気をまとっている。

ただし、ネタとして消費するには、値段が高すぎて手が出ない。
笑いながら買うには、少し勇気がいる価格帯である。

そんな中、最近よく目にするのが「The Souled Store」だ。
いつか「Facebook」に表示された広告を何気なく踏んでからというもの、アルゴリズムに捕まったのか、たびたび表示されるようになった。
プネーだけでも10か所近くの実店舗が展開しており、ゆえによく見るブランドロゴである。

この店の商品の中でも一番注目しているのが、掲題のシャツである。

そこには大きく「侘」「寂」「禅」と並び、意味が通っているのかどうかはさておき、日本語による説明文らしきものも確認できる。

素材はコットンリネン。
色合いも悪くない。
実は、かなり好みの一枚である。

一方で、別のTシャツには、正体不明のトッピングのようなものが乗った、パンのように見えなくもない溶けかけた何かがプリントされ、その上に「トーストした」とカタカナで書かれている。
 


直訳なのか、意図的なのか、妙に味わい深い。

こうしたデザインを見ていると、つい高揚感が湧いてくる。
自己肯定感ってやつを爆上げてくれそうだね、とすら思う。
 


さらに、ハローキティーのTシャツもある。
こちらには謎の中国語で「心跳預警」とある。
 


気になって調べてみると、「バイタルサイン」や「心拍数の警告」といった意味らしい。
かわいらしいキャラクターと、やや物騒にも感じられる言葉の組み合わせが、なんとも言えない違和感をかもし出している。

そこで、ふと思う。
もしこれを着て日本に入国しようとしたら、違法コピー商品と疑われて税関に引っ張られそうだ。
だからこその「心跳預警」なのであろうか。

意味の正確さよりも、雰囲気や記号性がもてはやされている「日本語」。
それをどう受け取るかは人それぞれだが、少なくとも観察する分には、なかなか飽きない存在である。
 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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