スィカンダラーバードの歴史的教会、修復を経てよみがえる鐘

 

Posted on 03 Jan 2026 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

鐘の音は信仰のシンボルでもあるよね。プネーの自宅で早起きする楽しみのひとつは、1キロメートルぐらい離れた場所のモスクから聞こえるアザーンの声です。



ハイダラーバードとツインシティをなすスィカンダラーバード(Secunderabad)で、築172年になる教会の鐘が再び鳴らされることになったという話題を見つけた。

Historic bell set to ring again at 172-year-old church in Secunderabad

駐屯地(カントンメント)にあたるトリムルゲリー(Trimulgerry)に建つ、高さ80フィート(約24メートル)の「CSIギャリソン・ウェスレー教会(CSI Garrison Wesley Church)」では、鐘楼の修復工事が進められていた。
この歴史ある鐘楼は「INTACH賞(INTACH award)*」を受賞している。
修復は、建築材となるべく同じ石灰とモルタルを用いるという、歴史的建造物の維持管理基準に沿って行われた。

同教会は、メダック教区(Diocese of Medak)に属する南インド教会(Church of South India)によって管理されている。
また、カーペンター・ゴシック(Carpenter Gothic)建築の優れた見本とされる。

数十年にわたる定期的な維持と小規模な修復を経て、教会は礼拝の場であると同時に、スィカンダラーバードにおける植民地時代の建築遺産を今なお伝える生きた証として、未来の世代のために保存され続けている。

この鐘楼の背後には、長い歴史がある。
ウェスリアン・メソジスト派(Wesleyan Methodist Missionary)の初代宣教師、ウィリアム・バージェス(William Burgess)は、かつてのハイダラーバード州(ニザーム朝の領土)に「ウェスレヤン教会群(Wesleyan Churches)」を設立した。その礎石は1853年にイギリス軍によって据えられ、1881年に完成した。

それから10年余り後、悲劇が起こる。
教会群のひとつである「ウェスレー女子修道院(Wesley Girls’ Institution)」を設立したバージェス牧師の妻、リリアン・バージェス(Lillian Burgess)夫人は、1892年にロンドンを訪れ、同年10月27日、息子のアーサーと宣教師仲間のジョセフ・エッジ・マルキン(Joseph Edge Malkin)牧師と共に、インドへ戻る途中であった。
船には、ギャリソン・ウェスレー教会の鐘楼に設置される予定だった真ちゅう製の鐘が積まれていた。
しかし船はポルトガル沖で沈没し、バージェス夫人、息子、若い宣教師、そして鐘を含む多くの命が失われた。

2025年初め、教会の責任者であるM・ラジェシュワール・ソロモン(M. Rajeshwar Solomon)牧師は、牧会委員会(Pastorate Committee)および司教委員会(Bishop’s Commission)のメンバーと協議の上、修復・維持管理工事を開始することを決定した。
鐘楼は、海で命を落としたバージェス夫人一行を偲び、以前の20フィートから約4倍の80フィートに延ばされ、新しい鐘も設置されることになった。

鐘が鳴るたびに、海で失われた命と、彼らが未来の世代に託した希望が思い起こされる。
彼女にとって鐘は、信者たちを礼拝へと導くだけでなく、教会に託された遺産を記憶し、尊び、継承していくよう促す存在なのである。

教会の財産管理担当、サンジーヴ・テナリ(Sanjeev Tenali)氏は、過去20年間で行われた2度目の大規模修復工事について、「歴史的な教会の修復に携われることは一生に一度の機会だ。教会の遺産、信仰、そして伝統を未来の世代のために守ることに貢献することは、特権であると同時に神聖な責任でもある」と述べた。

同教会は2015年に全体の大規模修復を完了している。

INTACH賞(INTACH Award): INTACH(インド国立芸術文化遺産信託、Indian National Trust for Art and Cultural Heritage)が、歴史的建造物や文化遺産の保全・修復において模範的な取り組みを行った事例を顕彰するために授与する賞。伝統的な建築技法や素材を尊重し、学術的・文化的価値を損なわずに保存・再生した点が評価対象となる。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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