冬の福岡で出会った、インドの夜の香り

 

Posted on 31 Dec 2025 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

金属製の容器が手にずしりと冷たく感じられ、何かいいことがあったら手に取りたい、特別感のある商品です。



母が先月まで滞在していたプネーで、ちょっとした「戦利品」を持ち帰ってきた。
Viman Nagarの「Phoenix Marketcity」に入る「Forest Essentials」で購入したという、高級練り香水である。
 
Solid Perfume Raat Ki Rani _ Forest Essentials

ほんの出来心で少し使わせてもらったのだが、これが思いのほかよかった。
ただし価格は1個4,200ルピー。
気軽に自分用として買うには、なかなか勇気の要る金額である。

この練り香水はアルコールフリー。
主原料はミツロウ、マンゴーバター、そしてキバナワタモドキの種から抽出したマフアバター(Mahua Butter)。
成分表を見ただけでも、肌にやさしい処方であることがわかる。

母が選んだ香りは「Raat Ki Rani(Queen of the Night)」。
肌にのせると、主張しすぎることなく、ふんわりと立ち上がる。
どこか上質なせっけんを使ったあとの湯上がりを思わせる、清潔感のある香りだ。
甘さはあるが重くなく、近づいたときにだけ、静かに存在を知らせてくる。

使い方も少し特別で、購入時にもらった木のヘラでごく少量をすくう。
現在、真冬の福岡に滞在中ということもあり、表面はかなり固い。
だが、小指の爪の先ほどの量でも十分に香るため、そう簡単には減りそうにない。
練り香水ならではの、密度の高さを実感する瞬間である。

このシリーズには「Raat Ki Rani」のほかに「Parijat」もあり、購入時にテスターで香りを確かめさせてもらった。
こちらはバラの存在感が強く、よりゴージャスで華やかな印象だった。
場面を選びそうだが、記憶にはしっかり残る香りである。

日常使いには少しぜいたくだが、ほんの少量で気分を切り替えたいときや、自分を労わる時間には、これ以上ない選択かもしれない。
そんなふうに思わせる、静かな説得力を持った練り香水だった。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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