ニザームも愛した、105年続くハイダラーバードの菓子店

 

Posted on 29 May 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

お店のホームページには「Since 1890」ってあるんだけどね。



ハイダラーバード旧市街にある、105年の歴史を持つ小さな菓子店を紹介する記事を見つけた。

A 105-year legacy: Hyderabad’s Jauzi Halwa which takes 16 hours to make

ビルヤーニーの香りとモアザム・ジャヒ(Moazzam Jahi)市場の喧騒が入り混じる一角に佇む「Hameedi Confectioners」は、1913年創業である。



 

当時、ハイダラーバードの片隅に、モハメド・フセイン(Mohammed Hussain)という名の15歳のトルコ人少年が構えた小さな屋台がその起源とされている。

以来、最後のニザーム(Nizam、ハイダラーバード藩王国の君主)、ミール・オスマン・アリー・ハーン(Mir Osman Ali Khan)を魅了したトルコの菓子、ジャウズィ・ハルワ(Jauzi Halwa)を作り続けている。

ナッツとサフランをふんだんに使ったこのハルワは、「オスマン帝国の豊かな味に、デカン地方のスパイスを融合させた味わい」である。

発芽小麦の粉、牛乳、サフラン、ギー、そして秘伝のスパイスであるナツメグ(ウルドゥー語で「ジョウズ」と言い、菓子の名前の由来ともなっている)を材料としている。
まともな道路も街灯もない時代に、揺らめくランプの下で、故郷のレシピを忠実に再現した菓子を作り続けたという。

その独特の風味は瞬く間に評判となり、ハイダラーバード最後のニザーム、オスマン・アリー・ハーンの耳にも届いた。
一口味わったニザームはすっかり虜になり、少年に自身の息子のニックネーム「ハミーディ」にちなんで店名を付けるよう命じ、王家の紋章を添えた手紙を送った。
その紋章は額装され、今も店内に飾られている。

モハメド・フセインの孫であるマザール(Mazhar)氏は、現在もその伝統を受け継ぎ、変わらぬレシピを守り続けている。
このお菓子は結婚式などの特別な場で提供されることもあり、1日に1キンタル(quintal、100キログラム)ほど売れることもあるという。

 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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