NHK Worldが、コルカタで無私の奉仕を続けて27年の渋谷りつ子さんを紹介

 

Posted on 02 Jan 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

自分の悩みや苦しみが、ほんのちっぽけなものに見えます。



「自分で決めたこと。」
言うのは簡単だが、それを貫ける人はどれほどいるだろうか。

NHK WorldのMarina Shirakawaさんが、旅の途上で偶然コルカタに立ち寄り、身体に障害を持つ身寄りのない子供たちに出会って以来27年間、当地で働く日本人女性を取材、紹介していた。
思うことがたくさんあり、記事を読みながら涙が止まらなくなった。
以下で要約をさせていただきたい。

A Japanese woman's life of selfless love in India - NHK World
※リンク先では、渋谷さんの活動を映像で観ることができる。

健康科学大学での渋谷りつ子さんによる講演風景(2012年06月06日)

渋谷りつ子さんは27年間、毎日ほとんど変わることのない日課を繰り返している。
喧騒著しいコルカタの路地裏を巡回すると、故マザー・テレサが設立したダヤ・ダン医療センター(Daya Dan Medical Center)を訪れ、心身に病や障害を抱える子供たちと交流する。

三重県出身のりつ子さんは16歳の時、ピアノ留学のためにオーストリアのウィーンに渡った。
12年後、音楽学校を卒業したりつ子さんは、日本に帰国する前に各国を旅行することにした。
その時に立ち寄ったコルカタで、マザー・テレサのボランティアに参加しないかと誘われたことが、人生を激変させることになった。

「生まれて初めて死者の顔を見た。初日からあまりにも衝撃を受けたわたしは、『いい経験をさせてくれてありがとう』などと言って立ち去ることはとてもできなくなってしまった。もう少し滞在すべきだと感じた」

それ以来、りつ子さんは決してこの地を去ることはなかった。
賃金労働に従事していないりつ子さんは、エアコンもキッチンも、お湯を浴びられる給湯設備すらもない、1泊5ドルほどの部屋に住み、貧困世帯と肩を並べる暮らしぶりだという。

しかし自らの生活を犠牲にしているとは思わない。
「誰かにやれと言われてやっているのではない。自分が選んでしていることだ。嫌だと思えばいつでも辞めて故郷に戻ればいい。だから辛いことだなどとは感じない」と言うりつ子さん。

ギリギリの生活状況にもかかわらず、コルカタに滞在し続けている理由については、「子供たちは会話も歩行もできなくとも、実に生き生きとしている。(りつ子さんがトイレの使い方を教えたり、リハビリのサポートをしたり、または最期の瞬間を看取ったりしている)彼らが注いでくれる愛情は、自分にとってはかけがえのないものだ。そうしたことが自分をこの地に繋ぎ止めている」と答える。

りつ子さんにとっては、1981年に来日したマザー・テレサが発した言葉、「十分な食事を取り、いい服を着、快適な場所に暮らすならば、貧しい人に尽くすことはできない。彼らと同じような生活をしない者が、彼らの役に立つことはできない」という言葉に賛同し、忠実に従っているまでだ。

「日本人のほとんどは、自分の国にも貧困が存在することを知らない。貧困とは、食べるものにありつけない人々だけを指すのではない。愛情を渇望している魂の貧困は、恵まれている国と呼ばれるところにこそ存在する。実は物質的な貧困の方が、心の貧困を救うよりもたやすいのだ」と話すりつ子さんの活動を、複数の団体が支援している。
そうしたグループのメンバーは、「りつ子さんのような暮らしを送ることは難しくとも、コーヒー1杯、外食1回分を支援に回すことぐらいはできる」と言う。

りつ子さんは自分が70歳になるまでの、あと12年は、コルカタで活動を続けたいと語っている。

要約は以上だ。

弱虫で逃げてばかりの人生を送るわたしの心の奥底を、りつ子さんの生き様はえぐるようだった。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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