児童労働者から航空宇宙技術者へ成長した男性からのメッセージ

 

Posted on 04 Apr 2017 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

ちょっと疲れ気味の心に届きました。



※航空技術者の男性ということで、空港の写真を検索、
こちらは昨年11月はじめに訪れたリスボンの国際空港ターミナルです。
 

何もかもに恵まれているほど、自分のことしか考えられず、物事の本質が見えていない、もしくは見ようとしなくなる傾向があるかもしれない。
かく言うわたしにも、そういうところが大いにあることを自覚している。
だからこそ、特に一代で莫大な富を築いたような人たちが、晩年になり率先して社会活動をするのかな。
第一、わたしのような無名の凡人が何かを偉そうに発言しても、まったく説得力がないし、誰も聞く耳を持たないことも分かっている。

だから静かに、このような記事を紹介し続けるのだ。
ただし、こういった側面も「インドの汚点」の一言で片付けられてしまうとすれば、それはあまりにも想像力に欠けている。

本日付の「The Better India」で、学校に通うために児童労働を余儀なくされた出自を持ち、現在は航空宇宙技師になった男性が、次の世代を担う子供たちに尽くしている活動について紹介していた。

This Man’s Journey From Child Labourer to Aerospace Engineer and Teacher Is out of This World

カルナータカ州の小さな村出身のチャナ・ラジュ(Channa Raju)さんは、自身の設立した非営利団体「ブラフミ(Brahmi:Brahmi Educational and Cultural Trust)」を通じ、基礎教育を受けられない恵まれない子供たち数百人の人生の方向転換を支援している。

貧しい農家に生まれたチャナさんは、「給食が無料」という理由だけで学校に送られた。
しかしこれをきっかけに学問に楽しみを見い出したチャナさんは、学業を継続するために幼いながらも様々な労働に従事して教育資金を工面した。

しかしその類まれなる才能は、ほどなく教育者の目に留まり、高校卒業と同時に自動車の整備工として働こうとしたチャナさんは、教師や友人らの励ましも受けて、バンガロールのサティヤ・サイ高等教育機関(Satya Sai Higher Learning Institute)へ進学、最終的にはチェンナイのアンナ大学(Anna University)で航空宇宙工学修士課程を修了、国立航空宇宙研究所(National Aerospace Laboratories)に入社することができた。

自身が、友人たちの継続的な激励によって、願ってもいなかった経歴を手にできたことから、現在は困難な境遇にある子供たちを激励する側に回りたいというラジュさん。
有志らとタマリンドの木の下の青空学校から始めた学校を「アンジャナ・ヴィディヤ・ケンドラ(Anjana Vidya Kendra)」と名付け2001年に設立、現在は中学校卒業程度(クラス10)までの学年を教えている。
近いうちに高校卒業程度(クラス12)まで教育できる本格的な高等学校や、遠隔から入学する子供たちのための寮も整備したいと考えている。

技術者や医者となるための人材育成ではなく、あくまで教育を受けることで子供たちが正しい道を選び、またその選択肢を広げることを追求している。
校内ではもちろん、カースト差別も厳禁だ。

「農業従事者になろうと、物理学者になろうと、ここで教えられた価値観を生涯活用して欲しい」とするラジュさんの学校へは、友人を中心としたネットワークから運営資金が集まっている。

別にインドになんか興味なくてもいいけど、この記事の問いかけるようなことを、一緒に追求したりできる仲間が欲しいかな。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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