インド国民会議派(Congress)の指導者で、ローク・サバー(Lok Sabha、インド下院)の野党院内総務を務めるラーフル・ガーンディー(Rahul Gandhi)氏が8月22日、プネーで女性の学生や若手社会人と対話するイベント「Chhatron Ki Goonj」に参加した。
Smash The Patriarchy | Women's Special Chhatron Ki Goonj, Pune | Rahul Gandhi(YouTube動画)
学生や若者の声を直接聞く「Chhatron Ki Goonj」の第4回にあたり、今回は女性に焦点を当てた特別回として開催された。
会場では教育、就職、経済的自立、公共交通機関での安全、ハラスメント、家庭や社会から受ける制約などについて、参加者が自身の経験を語った。
わたしもマラーティー語チャンネル「TV9」での中継をリアルタイムで視聴していた。
ガーンディー氏は冒頭、「インド最大の資産は7億人の女性だ」と述べ、一人ひとりがそれぞれ異なる人生、想像力、夢を持っていると語った。
一方、社会では女性が「娘」「妻」「母」といった男性との関係性によって捉えられがちだと指摘。
「女性はまず自分自身のものである」として、こうした枠組みに女性のアイデンティティーを限定すべきではないと訴えた。
対話では、女性が日常生活の中で感じる「安全」の問題も大きなテーマとなった。
参加者からは、通学や通勤時のハラスメントへの不安、夜間や公共交通機関を一人で利用することへの恐怖などが語られた。
こうした安全上の問題が、単なる不便にとどまらず、進学先や仕事の選択、行動できる時間や場所そのものを狭めているという声も上がった。
さらに、就職や経済的自立を望んでも結婚を優先するよう求められることや、家族から行動を制限されることなど、女性を取り巻く社会的・経済的な障壁についても議論された。
ガーンディー氏は、女性に対する制限がしばしば「あなたの安全が心配だから」という形を取って現れるとして、女性自身が人生を選択できることの重要性を強調した。
なかでも印象的だったのが、部族コミュニティー出身の学生から寄せられた政府運営の学生寮や寄宿学校をめぐる訴えだった。
学生によると、一部の施設では十分なベッドや安全な飲料水など基本的な設備が不足しているほか、食事を遠方の調理場(centralised kitchen)で一括調理して運搬する仕組みにより、食事の品質や食中毒への懸念が生じているという。
また、政府運営の部族学生寮に滞在できる年齢に上限が設けられていることが、高等教育を続けようとする学生の妨げになっていると訴えた。
さらに耳を疑ったのは、一定期間、寮を離れた女子学生が戻る際、「fitness certificate」の提出を求められ、伝染病への感染有無を調べられるだけでなく、その過程で妊娠検査まで行われているとの問題も提起されたことだ。
これは重大な人権侵害であり、明確な差別である。
寄宿制教育施設に24時間対応できる看護師などの医療スタッフを配置してほしいとの要望も出された。
これらの訴えは、複数の報道でも確認されている。
学生は、こうした問題の改善を求め、プネーのManjariで部族学生らが10日間にわたってハンガーストライキを続けていることも説明した。
これに対しガーンディー氏は、「मुझे बुलाइए, मैं आपके साथ हड़ताल पर बैठूंगा।(そこに呼んでください。私も行って一緒に座ります)」と応じ、学生たちの抗議活動に参加して行政側への働きかけを強める意向を示した。
ゲストとして登壇したボージプーリーのフォーク歌手、ソングライターのNeha Singh Rathore氏も、女性が声を上げることの難しさについて自身の経験を語った。
政府が問われたくない問題について質問すると、多くの中傷やFIR(First Information Report、警察への第一情報報告書)を受けてきたというRathore氏は、「民主主義の中で首相に質問することさえできないのであれば、女性への尊重とは何なのか」と問いかけた。
結婚後、ウッタル・プラデーシュ州で風刺的な歌を発表した際には警察が動き、周囲から家族に対して「どんな女性なのか」といった声が寄せられた経験も紹介した。
男性もオンライン上で攻撃を受けるが、女性の場合は攻撃の仕方が異なり、「character assassination(人格や評判を傷つける攻撃)」にまで及ぶと指摘。
それでも自身は「少し大胆で、頑固」だから怖がることはないと話し、批判を受けても声を上げ続ける姿勢を示した。
これを聞いたガーンディー氏も、自身も長年にわたり批判を受けてきたとして、「मैं भी नहीं सुधर रहा हूँ।(私もおとなしくなるつもりはない)」と応じ、会場を沸かせた。
約1時間にわたった対話で繰り返されたのは、女性を「守られる存在」として狭い枠の中に置くのではなく、それぞれが自分の人生を決められる社会にすべきだというメッセージだった。
最後にガーンディー氏は女性たちに対し、「Be loud, be proud, and fight for your space in society」と呼びかけ、「Smash the patriarchy(家父長制を打ち壊そう)」という言葉でセッションを締めくくった。
今回のイベントで最も興味深かったのは、政治家が一方的に演説するというより、女性たち自身がマイクを持ち、日々経験している問題を具体的に語る時間が長く設けられていた点だろう。
これは、ガーンディー氏が常日頃、有権者へ向き合う姿勢として一貫していた。
女性の安全や就職といった都市部の若者に身近な問題から、部族学生寮の食事、医療、教育環境まで、同じ「女性」というテーマの中にも、インド社会が抱える問題の幅広さが浮かび上がるイベントとなった。

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