マドラスチェック、海を渡った格子柄

 

Posted on 04 Aug 2026 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

わたしも大好き、マドラスチェック。肌触りも抜群だよね。



「The Hindu」有料版に、マドラスチェックの歴史や変遷、世界中への伝播、そして現代の立ち位置について、Barry Rodgers氏*によるとても詳細かつ読み応えのある記事が寄稿されていた。
そのすべてをここに記載できないが、マドラスチェックの歴史についてピンポイントに解説した欄をここに掲載したい。

The global journey of Madras Checks, from Chennai to Dior

マドラスチェックという名前は、かつてこの布が輸出された港湾都市マドラス(Madras)、現在のチェンナイ(Chennai)に由来する。
ただし、布そのものはコロマンデル海岸(Coromandel coast)沿いの複数の産地で織られていた。
そこから香辛料、綿花、染料をインド洋各地、さらにはその先へと運んだのと同じ海上交易路を通じて、世界各地へ広がっていった。

ナイジェリアでは、特にイボ(Igbo)やカラバリ(Kalabari)のコミュニティーにおいて、鮮やかな色彩のマドラス綿布は「ジョージ・クロス(George cloth)」または「インジリ(Injiri)」として知られるようになり、儀式や祝祭の際に身に着けられた。
赤、インディゴ、黄色、緑などを鮮やかに組み合わせた格子柄は、一目でそれと分かるものだった。
インドから輸出された手織りの綿格子布には「リアル・マドラス(Real Madras)」という表示が付けられたが、これは後にヨーロッパの工場で生産されるようになった機械織りの模倣品と区別する意味もあった。

20世紀初頭までには、この布はひそかに米国のファッションにも入り込んでいた。
バハマで冬の休暇を過ごした裕福な米国人が、帰国の際に色鮮やかなシャツを持ち帰るようになり、1950年代にはマドラスがアイビー・リーグ(Ivy League)の大学キャンパスのワードローブに定着した。
そうした経緯から、マドラスチェックはくつろいだ夏の装いを象徴するものとなった。

マドラスチェックについて有名な逸話のひとつは、1958年にさかのぼる。
それは、米国の小売業者ブルックス・ブラザーズ(Brooks Brothers)が、インドから仕入れた天然染料によるマドラスシャツを既製服のラインに加えたときのことである。
ほどなくして、洗濯すると色落ちするという苦情が顧客から寄せられるようになった。
しかし、その欠点を謝罪する代わりに、色落ちはこの布ならではの魅力として打ち出された。
こうして、洗うたびに少しずつ表情を変える布、「ブリーディング・マドラス(Bleeding Madras)」の伝説が生まれた。

コロマンデル海岸沿いの手織り機から始まった織物であるマドラスチェックは、想像もつかないほど遠くまで旅をした。

*Barry Rodgers(バリー・ロジャース)氏: ファッションやライフスタイル分野を中心に執筆するジャーナリスト、編集者。「The Hindu」のほか、「Vogue India」「Grazia India」などでも執筆している。
 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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