「ドイツはよりインド的になった」退任大使が見たベルリンの変化

 

Posted on 29 Jul 2026 21:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

ほんとうに、インドの寺院Everywhereだよね。



まもなく退任するフィリップ・アッカーマン(Philipp Ackermann)在インド大使が執筆した、「ドイツのインド化」という、日本のネトウヨが聞いたら発狂しそうな内容の「Times of India」の記事を、LinkedInで共有している人がいたので興味深く読んだ。

‘Germany has become more Indian...you can see cricket being played in Tempelhofer’ - The Times of India

ベルリンのまさに中心部に、ヨーロッパのどの首都にもなかなか見られない、極めて「珍しい場所」がある。
かつて飛行場だった広大な公園「テンペルホーファー・フェルト(Tempelhofer Feld)」には、ピクニックをする人、スケートをする人たちに混じって、クリケットをしているインド人たちが集まるようになった。

実際、インド人はベルリンの一部となり、街角ではヒンディー語、タミル語、マラヤーラム語も聞こえてくる。

テンペルホーファー・フェルトから北へ向かい、博物館が集まる島「ムゼウムスインゼル(Museumsinsel)」を目指すと、その途中で必ず目に入るのが、ヨーロッパの首都の中でもひときわ背の高い、珍しい建造物である。
ベルリンの中心部に突然、鮮やかな色彩として現れるそれは、高さ17メートルのゴープラム(Gopuram)*である。
つまり南インド様式で建てられた「シュリー・ガネーシャ寺院(Shri Ganesha Temple)」で、20年以上に及ぶ建設を経て、つい先月開設された。

この寺院は、私(アッカーマン氏)が大使として過ごした4年間に目の当たりにしてきたものを映し出すものである。
多くのものがひとつにまとまり、さまざまな分野で最後の仕上げまでこぎ着けることができた、そんな時期だったように感じる。

もちろん、こうした瞬間は、何十年にも及ぶ多くの人々の努力の上に成り立っている。

ドイツとインドは以前から長い時間をかけて接近してきた。
そして近年、この2か国はいくつもの重要な節目に到達した。

たとえば両国は合同軍事演習を実施し、ドイツからインドへの防衛装備品の輸出は増え続けている。
そして、大型防衛装備品の共同生産が、両国のパートナーシップにおける次の段階となるのも、時間の問題かもしれない。

両国首都間の政治交流も、同じような勢いで拡大してきた。
私はここデリーで、いったい何人のドイツ閣僚を迎えたのか、ほとんど数え切れなくなってしまった。

ドイツ首相について言えば、わずか4年間に3人の異なる首相がインドを訪れた。
アンゲラ・メルケル元首相、オラフ・ショルツ前首相、そしてフリードリヒ・メルツ首相である。

これは政治的不安定さが理由なのではなく、むしろその正反対である。
政権が変わっても、2か国間関係は確かな継続性を示している。

メルケル元首相は最近、自宅で作るチキン・ティッカの研究に余念がない、という話がある。

さて、ベルリンを巡る私たちの「ヤートラー(yatra、旅)」に戻ろう。
ベルリン・フンボルト大学(Humboldt University of Berlin)をはじめ、インド人はドイツの学術界において、ますます大きな足跡を残すようになった。
6万人を超えるインド人学生が、ドイツを知的な意味での故郷としている。
世界各地で新たな居場所を見つけることがますます難しくなっているこの時代においてである。

私はこれを、信頼の表れだと考えている。
ドイツの学術機関に対する信頼であると同時に、ドイツが提供する生活の質に対する信頼でもある。

ついに「Auf Wiedersehen(また会いましょう)」、そして「phir milenge(また会いましょう)」と言う時が来た。

個人的には、この別れは難しくもあり、同時に簡単でもある。

難しいのは、多くの友人たち、そして合計7年間を過ごしたこの国と別れなければならないからだ。

一方で簡単なのは、過去4年間を大きな満足と楽観をもって振り返ることができるからである。
そしてもうひとつ、この別れが本当の意味での別れではないからでもある。

ドイツは、以前よりもインド的になった。
だからこれから、インドの活気ある温かさや親しみやすさが少し恋しくなった時には、ベルリンのシュリー・ガネーシャ寺院を訪れよう。

ゴープラム(Gopuram)*: 南インドのヒンドゥー教寺院に特徴的な高層の門。ピラミッド状にそびえ、神像などの彫刻で装飾されていることが多い。
 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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