「毎月150万人増」からAI時代へ、インド携帯電話革命の20年

 

Posted on 03 Jul 2026 21:00 in アーカイブ特集 by Yoko Deshmukh

画像は2010年、はじめて購入したスマートフォン「Sony Ericsson Xperia X10 mini」です。ちっちゃかったな。



2004年、インドで携帯電話契約者が毎月150万人ずつ増えているというニュースは、当時としては驚きだった。
固定電話がまだ通信の中心だった時代に、リクシャー運転手や使用人までが新しい携帯電話ユーザーになり始めていたからである。

ケータイ契約者数毎月150万人増 2004.7.3(土) BBC News

しかし、その後の20年余りで起きた変化は、当時の予想をはるかに超えた。
インド電気通信規制庁(Telecom Regulatory Authority of India、TRAI)によると、2026年5月末時点でインドの電話契約数は13億4,310万件に達し、そのうちワイヤレス契約は12億9,446万件、固定電話などのワイヤライン契約は4,864万件だった。
携帯電話だけで見ると、契約数は12億7,700万件、実際に使われているアクティブ・ワイヤレス契約も約11億9,574万件に上っている。

2004年の携帯電話は、主に「安い通話」の道具だった。
2020年代半ばのインドでは、それがスマートフォン、モバイルインターネット、動画、決済、行政サービス、教育、仕事、そしてAI利用の入り口に変わった。
2025年9月時点で、インドのインターネット利用者は約10億2,000万人、スマートフォンは7億5,000万台と報じられており、インドは世界第2位のスマートフォン市場とされている。

スマートフォンの普及は、家庭単位でも確認できる。
インド政府の2025年調査では、インドの世帯の85.5%が少なくとも1台のスマートフォンを保有し、86.3%の世帯が家庭内でインターネットにアクセスできるとされている。
15〜29歳では、農村部でも92.7%、都市部では95.7%が直近3カ月にインターネットを利用していた。

4G、5Gの広がりにより、携帯電話は「話す機械」から「生活インフラ」になった。
2025年末時点でインドの5G契約は4億3,000万件、全モバイル契約の35%に達し、スマートフォン1台当たりの月間データ利用量は37GBとされている。

その変化を象徴するのがUPIである。
2026年5月、UPIの月間取引件数は232億件、取引額は29.90兆ルピーに達した。
つまり、2004年に「1分1セントの通話料」が注目されたインドは、いまやスマートフォンで日常の支払いを行う国になっている。

さらに新しい段階として、AIと生成AIの利用も広がっている。
インドのインターネット・モバイル関連業界団体(Internet and Mobile Association of India、IAMAI)と調査会社カンター(Kantar)の「Internet in India Report 2025」によれば、インドのアクティブインターネットユーザーは9億5,800万人で、その44%が音声検索、画像検索、チャットボット、AIフィルターなどのAI機能を利用したことがあるとされる。
ボストン コンサルティング グループ(Boston Consulting Group、BCG)の2025年調査でも、インドはアジア太平洋地域でAI導入率が高く、従業員のAI利用率は92%とされている。

2004年の記事をいま振り返ると、インドの携帯電話革命は単に「契約者数が増えた」という話ではなかった。
携帯電話は、固定電話を置き換え、スマートフォンとなり、決済端末となり、動画視聴の画面となり、そしてAIと生成AIに触れる最初の窓口になった。

20年前に「毎月150万人増」と報じられた小さな端末は、現在のインドでは、経済、社会、教育、消費、仕事をつなぐ最も身近なデジタル基盤になっている。

参照・出典:
ASKSiddhi「ケータイ契約者数毎月150万人増」(2004年7月3日掲載、BBC Newsとして紹介)
※BBC原文にあるとされる「5月末時点での携帯電話契約者数7,940万人」という具体的記述については、今回の確認では直接参照できる原文ソースを確認できなかった。

“Telecom Subscription Data as on May, 2026” / Press Release No.78/2026

“The Indian Telecom Services Performance Indicators, January–March 2004”

“Study Paper No. 2/2005”

“TRAI May 2026 Telecom Data: Airtel Leads Mobile Subscriber Gains, Jio Tops Broadband and 5G FWA”

“Telecom Subscriber Base Rises to 134 Cr in May 2026; Airtel Leads Growth: TRAI Data”

“TRAI: India adds 5.6 million telecom subscribers in May”

“UPI Transactions Soar to Record US$ 312.21 billion in May”

“UPI Hits new high in May 2026 with 23.2 billion transactions worth Rs 29.9 Trillion”

“Results of Comprehensive Modular Survey: Telecom, 2025”

“85.5% Indian households posses at least one smartphone: MoSPI Survey”

“Ericsson Mobility Report: India’s 5G subscriptions to reach 1.1 billion by 2031”

“India’s social media user boom raises concerns over youth screen time”

“Digital 2026: India”

“11 years of Digital India: Internet connections quadruple to 1.02 billion”

“India’s internet users near one billion in 2025, rural India leads growth: IAMAI”

“India’s internet user base crosses 950 million in 2025”

“Asia Pacific Leads the World in AI Adoption While Grappling with Job Fears”

“India’s 92% AI adoption rate the highest in Asia Pacific: BCG report”
 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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