熱帯夜のプネーで出会った「鬼門ゾーン」の新顔

 

Posted on 30 Apr 2026 21:00 in ASKSiddhi独断うまい店 by Yoko Deshmukh

ひさびさの「うまい店」シリーズです。



いつもの散歩コースに新しくオープンして、ずっと気になっていた「Izipizi Street」を訪問する機会に、初めて恵まれた。
時は酷暑期、夜もプネーは熱帯夜である。

そんなある晩、所用でメトロを利用した帰り道に、たまたま前を通りかかり、吸い寄せられるように入店したのである。


Izipizi Street

 

この一角は、これまでさまざまなトレンディー店舗が進出しては、繁盛しているように見えるのに撤退している、「カルヤーニー・ナガル(Kalyani Nagar)の鬼門」と筆者が勝手に呼んでいるゾーンである。
それだけに、新規店舗がどこまで持ちこたえるのか、つい気になってしまう場所でもある。

店内に一歩、足を踏み入れると、平日の夜にもかかわらず大賑わい。
屋外席が中心なので涼しさはなく、かえってそれが「アジアの熱気」と開放感を演出し、気分は小旅行である。

その日の客層に外国人はわたしだけで、ほぼ若者が中心だった。
そのため、外の熱気とは対照的に、空間には軽やかな活気が漂い、ヒンディー語、マラーティー語、英語などの混じった、賑やかだが決して不快ではないざわめきに満ちている。

そしてコンセプトが「東アジア」のためか、店員さんを北東インド系スタッフで統一するという演出もみられる。
唐突な「サッポロ一番塩らーめん」や(ずいぶん物騒な)「殺してやる」など、近年インドで地味に流行っている無邪気な「ナゾ日本語」も散見されるあたり、この店の立ち位置を象徴していて興味深い。

メニューを見ると定番の「Dim Sum」から、チャプチェを含む韓国風、そして我らが日本からはラーメンも。

さて、ここは大胆に「寿司」と行きたいところだが、初回訪問で冒険に打って出るリスクも考えてしまう慎重なわたしである。
そもそも「Sushi Tacos」とかいう気になるメニューも並んでいるのだが、2切れ600ルピー以上となかなかの値段であり、腹も減っていたので試すにはちょっと勇気が要った。

そうした小さな逡巡を経て、失敗の少なそうな安定メニュー、「Shiokoji Karaage」なるものをまずは注文する。
 

 

店内ではいずれのスタッフもテキパキと無駄のない動きで働いているが、特に我々のテーブルを担当してくれた金髪の男性は、非常に気が利く、かつ馴れ馴れしくない程度のフレンドリーなサービスがひときわ光っていた。
おかげでドロッとした暑さから逃れられない屋外席しか空いていない状況にあっても、手元のハンディ扇風機の風も借りて、爽やかに気持ちよく過ごすことができた。
なお屋外席ではあるものの、蚊や虫のたぐいはあまり気にならなかったのは、地味に高ポイントである。

過去、この「カルヤーニー・ナガルの鬼門」には「German Bakery」や「Elephant Co.」など、アルコール類が充実した、どちらかと言うと大人向けの飲食店が進出してきたが、週末ともなれば飲んで騒ぐ人びとが路上にまであふれかえり、夜間は迂回したくなるような空気が店舗周辺に蔓延していた。

その点「Izipizi Street」はまだリカーパーミットを取得していないらしく、ソフトドリンクしか提供がない。
ただし店内を見るとバーカウンターらしきものが確認できるので、将来的には利益率の高いアルコール類の販売を始めるのかもしれない。

さて、注文からそれほど待たずして「Karaage」がサーブされるところを見ると、おそらく人気メニューでどんどん揚げているのであろう。
ここは備え付けの割り箸でいただく。

塩こうじの風味に関して、わたしはまったくのド素人かつ味音痴なのでコメントのしようもないが、鶏肉はやわらかく、それでいて衣はサクッと軽く、いくつでも食べられそうな味わいである。

そして付け合せのタレ2種がまたいい。
しっかりとわさびの風味がするマヨネーズ、そしてごま油の醤油ダレは、いずれも揚げたての「Karaage」にぴったりマリアージュしてくれた。
これは必食であると(えらそうに)お墨付きを与えたい。

そしてメインには「Healthy Veg Tom Yam Fried Rice」なる、これまたナゾめいた一品を注文する。
運ばれてきたライスの粒は日本米っぽい短粒であったが、噛み締めるとほどよい弾力があり、デンプン質は少なめの、ブラウンライス系の食感である。
辛さひかえめの味付けとともに、こちらも気に入った。
 


初めての邂逅はこのようにして、非常に好印象であったことを、ここに記録しておきたい。
みなさまも、お近くへお寄りの際にはぜひ、試してみて欲しい。

筆者も次こそはぜひ「Sushi Tacos」に手を伸ばしてみたいものである。
 

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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