米国の戦略的誤算: イラン戦争の現実

 

Posted on 11 Mar 2026 21:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

思いやりのかけらもなく、自分の利のみにしがみつく、ただの承認欲求の塊が、世界の疫病になっています。



「The Hindu」に、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を非難する社説が掲載されていたので、抄訳したい。

Strategic blunder: On the U.S., the Iran war

2月28日の米イスラエル合同攻撃で父アリー・ハメネイ(Ali Khamenei)師が暗殺された後、イランはアヤトラ・モジタバ・ハメネイ(Ayatollah Mojtaba Khamenei)師を最高指導者に選出することで、defiance(反抗)と継続性を示した。

先週、イランの「無条件降伏」を要求したドナルド・トランプ米大統領は、2世のハメネイ師は受け入れられないと明言した。

しかし、88人で構成されるイランの聖職者会議は、2月28日の攻撃で他の近親者も失った57歳のアヤトラ(Ayatollah)*を、新たな「革命指導者」に選出した。

イラン・イラク戦争の「最前線」で戦い、ゴムの神学校でイスラムを学んだハメネイ師は、イスラム革命防衛隊や聖職者層と緊密な関係を維持してきた。

同師をその地位に就けることで、テヘランは紛れもないメッセージを送った。
イスラム共和国は戦時中でも揺るぎない立場を貫く、というメッセージである。

トランプ氏が、首脳への攻撃がイスラム統治の崩壊につながると考えていたとすれば、それは誤りだった。

実際には、国家のあらゆる部門が軍と聖職者層の支持を固めた。

イランはペルシャ湾岸とイスラエルにある米軍基地やエネルギーインフラを攻撃することで、戦争を周辺地域に拡大した。

今、新たなハメネイ師が権力を握っている。
イラン国家は崩壊には程遠い。

エネルギー価格は高騰し、米国とイスラエルの指導者たちは出口戦略を模索している。

これは全く不必要な戦争だった。

イスラエルと米国は、テヘランとワシントンの協議を仲介したオマーンが、核合意が手の届くところにあると発言した数時間後に、イランへの攻撃を開始した。

開戦後、トランプ氏は目標を次々と変更した。

初日にはイラン国家の転覆が目標だと述べ、5日目にはイランの新指導者選出に関与したいと表明し、11日目には、イランのミサイルがイスラエルに降り注ぎ、地域内の米軍基地を攻撃し続ける中、アメリカはすでに勝利し、戦争は「間もなく」終わると宣言した。

確かに、米国とイスラエルは、イランへの攻撃を継続できる、強大な空軍力を有している。

一方、独立した調査によると、2月28日にイランの女子小学校を直撃し、160人以上の命が失われた攻撃は、アメリカのミサイルによるものだったことが分かっている。

先週は、イスラエルによるイランの石油貯蔵施設への攻撃で、テヘランは濃い煙に包まれた。

しかし、数日前までアメリカが「解放する」と約束していた人々を、明確な政治的目標も示さずに爆撃し続けることに、一体何の意味があるのだろうか。

イランは屈服しているのではなく、反撃しているのだ。

トランプ氏とベンヤミン・ネタニヤフ首相がこの戦争を続ければ、世界経済はさらなる圧力にさらされるだろう。

彼らが重大な誤算に気づいているかどうかは別として、前進への道は更なる爆撃ではない。

この戦争は直ちに終結させなければならない。

*アヤトラ(Ayatollah)
イスラム教シーア派で、イスラム法学に通じた高位の宗教指導者に与えられる称号。
 

ASKSiddhiは、Noteでも記事をアップしています。
今後メンバーシップを利用した企画なども考えていますので、
よろしければフォローしてみてください。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments

Leave a Comment..

Name * Email Id * Comment *