お日様の味: NPO「太陽と水と緑のプロジェクト」から届いたお米を炊く

 

Posted on 15 Nov 2025 21:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

インドと日本の人々の善意が育んだお米は、一粒一粒に、しっかりとした味わいがありました。



田島先生との出会いは、さかのぼること2010年ごろだったか。
勤務先同僚の紹介がきっかけだった。

特定非営利活動法人太陽と水と緑のプロジェクト _ NPO法人ポータルサイト(内閣府)

当時の田島俊夫(たじま・としお)先生は、埼玉県で高校教師を退職後、プネーの学校「Jnana Prabodhini」を拠点に頻繁にインドに通い、マハーラーシュトラ州の農村において、太陽光自家発電用パネルの組み立て技術を伝授する活動に従事されていた。

田島先生のご活動とは、以下の状況を見て見ぬふりできなかったことを原動力とされたものである。

都会に出てきて卑小な賃金と劣悪な住環境に甘んじる生活を強いられている人々。
本来であれば、自らの故郷で豊かに生きていくことができるはずであったのかもしれない。
しかし、最低限の資源である水と、その水を人力に頼らず引くための電力すら欠いている厳しい現状があり、農業はおろか、生きていくことすらままならず、やむを得ず現金収入を求めて都市部に流入しているのである。

特に内陸部における水資源および電力の不安定さは、インド移住当初の無職だった2か月間、その後は毎年ディワーリーの時期を中心に、たびたびシッダールタ故郷の町アコラ(Akola)を訪れ、その実家で生活してきた経験から、身をもって実感していた。
この、曲がりなりにも都市であるアコラはもちろん、その往復でいつも通り過ぎるだけの、乾いた貧しげな村々。

田島先生と出会い、そのご活動目的を知ったことが、このような村に暮らす人々の暮らしを、私事として想像する力となった。
そんな田島先生を、わたしはひそかに「インドの中村哲先生」と呼んでいた。

近年は田島先生ご自身が大病を患われたこともあり、インドに通う代わりに、農村部の大志を抱く若者たちを日本に招き、太陽光自家発電用パネルの組み立て方や使い方、そして農業技術などを数か月にわたって研修している。
その埼玉県上尾市のNPO法人、「太陽と水と緑のプロジェクト」が所有する水田で作られたお米を、田島先生よりわざわざお送りいただいたのが先週のことだ。
同法人と関係する日本在住インド人女性が手配してくださった。

田島先生たちが丹精込めて作ったお米を、さっそく炊いてみた。
 

せっかくのお米を少し焦がしてしまう(汗)


 

炊くと言っても、水加減こそ福岡の母に聞いて測ったものの、いつものインド米と同様の向き合い方である。
すなわち鍋で30分ほど浸水し、蓋をせず沸騰させてから中火にし、おおかたの水がなくなったところで蓋をして3分ほど煮てから火を止め、10分ほど蒸らした。
炊けたご飯はふっくらもっちりと輝いていて、かみしめるとほんのり甘みもある。
まるで、太陽のような田島先生の笑顔が込められているようなお日様の味だった。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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