プネーが誇る名店「Kayani Bakery」の二大銘菓

 

Posted on 13 Nov 2025 21:00 in ASKSiddhi独断うまい店 by Yoko Deshmukh

いま見たらなんと「Zomato」でデリバリーを頼めるようになっていて、時代の変化にうろたえています。画像は「Zomato」ページより。



昨日に引き続きのシリーズである。

「インドのスイーツはどれも脳天を直撃する激甘ばかり、洋菓子に至ってはバタークリームを塗ったくった、甘いだけの味も素っ気もないシロモノ」というイメージが先行し、いまも根強い。
そうした先入観に触れるたび、忸怩たる思いを新たにしてきたわたし。

そこでいっそのこと何回かに分けて、日本以外には韓国、ポルトガル、そしてタイ、マレーシア、シンガポールなど一部の東南アジア諸国への訪問経験しかないわたしが、インド各地で出会い、「世界一」と堂々の太鼓判を押す洋菓子をご紹介してみようと思い立った。

住んでいるプネーだけでなく、旅先でも血眼になって洋菓子店を探すほど甘い物に目がないわたし。
こと「ASKSiddhi」の独断と偏見を、ぜひ信頼してみてほしい。

世界一のビスケットとパウンドケーキ。
それは、「Kayani Bakery」の「Shrewsbury Biscuits*1」と「Mawa Cake*2」である。



 

かつて(いまも?)、遠くデリーからもわざわざ人びとが買い求めに訪れたと聞く。
いまほど航空便が発達する前の時代であることを思えば、その評判がどれほど抜きんでたものだったかがよくわかる。
ムンバイーの日本国総領事館を用事で訪れる折に手土産として持参したこともあるが、もちろん大喜びしてもらえた。

プネーでも例外ではなく、近年の「上品サイズ」が主流となった洋菓子たちとは対照的に、「Kayani Bakery」の分厚く大ぶりのビスケットは、1枚を手に乗せればずしりとした重みが手のひらに伝わってくる。
ひと口かじればサクッと心地よく崩れ、バニラとバターの芳醇な香りがふわりと立ちのぼり、口いっぱいに広がる。
1枚で満足できるほどの食べ応えでありながら、気がつけばもう1枚、さらにもう1枚と手が伸びてしまう。
ビスケットとしては珍しい、なんとも危険な「やみつき系」の魅力を放っている。

「Mawa Cake」は、いわゆるパウンドケーキのようなどっしりとした存在感のあるケーキである。
プネーでは大小さまざまなベーカリーで売られているが、「Kayani Bakery」のそれは、同じカテゴリーとは思えないほど際立った水準を誇っている。
小ぶりの丸型で焼かれ、オーブン紙をまとったまま店頭に並ぶその姿は、素朴でありながらどこか品格が漂う。
ホイップクリームではなく、やさしい酸味の水切りヨーグルトを添えて食べると、濃厚なミルクの旨みがより一層引き立ち、味に奥行きが生まれるのがお気に入りである。

ちなみに「Kayani Bakery」には、この2つ以外にも多くの名品がある。
なかでも「Ginger Biscuits」は特筆すべき存在で、皆さんが想像する「ジンジャー風味」の少なくとも五割増しはあろうかというほどのスパイシーな刺激と香りを楽しめる逸品である。

1: 「Shrewsbury Biscuits」とは
イギリス発祥のバターたっぷりのクッキーで、サクッとほろける食感と濃厚なバニラ風味が特徴のビスケットである。
2: 「Mawa Cake」とは
インドの伝統的な焼き菓子で、濃縮乳(mawa/khoya)を使ったしっとり系のパウンドケーキ。素朴ながら深いコクが特徴である。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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