あふれる幸せ、プネー発「世界一のクリームパン」物語
Posted on 11 Nov 2025 21:00 in ASKSiddhi独断うまい店 by Yoko Deshmukh
この写真は2013年に撮ったものなので、店舗の場所が元のKoregaon Parkになっています。現在は移転してKalyani Nagarにカフェとして経営しています。
昨日に引き続きのシリーズである。
「インドのスイーツはどれも脳天を直撃する激甘ばかり、洋菓子に至ってはバタークリームを塗ったくった、甘いだけの味も素っ気もないシロモノ」というイメージが先行し、いまも根強い。
そうした先入観に触れるたび、忸怩たる思いを新たにしてきたわたし。
そこでいっそのこと何回かに分けて、日本以外には韓国、ポルトガル、そしてタイ、マレーシア、シンガポールなど一部の東南アジア諸国への訪問経験しかないわたしが、インド各地で出会い、「世界一」と堂々の太鼓判を押す洋菓子をご紹介してみようと思い立った。
住んでいるプネーだけでなく、旅先でも血眼になって洋菓子店を探すほど甘い物に目がないわたし。
こと「ASKSiddhi」の独断と偏見を、ぜひ信頼してみてほしい。
世界一のクリームパン、それは文句なしに「London Muffin」にあり。
皮が限りなく薄く、クリームは限界までたっぷり(実際、手に取るとずっしりと詰まったクリームが、重みでしみ出してくるくらい)。
これほど完璧なクリームパンに、わたしはほかに出会ったことがない。
「London Muffin」がプネーに誕生したのは、もうかれこれ10年以上前のことだろう。
当時、あんパンが店頭に並びはじめたころ、プネーの街(というか、わたしたち日本人在住者界隈)にちょっとした旋風を巻き起こしてくれた。
日本や韓国のパン文化に慣れ親しんだ人々にとって、クリームチーズとクルミ入りの平たいパン、ホイップクリーム入りのちぎりパンなどとともに、その完成度は目を見張るものだった。
そしていま、「London Muffin」は当時の場所から移動後の現店舗を大幅に改築して、面積を拡大し、本格的な韓国デリを気軽に楽しめるレストランへと進化している。
キンパ、牛肉ビビンバ丼、チャプチェ、ヤンニョムチキン——。
昼どきには韓国人や外国人をはじめ、多くの常連客でいつも大いに賑わっている。
その中心には、韓国人のおかみさんとマスター、そして少なくとも現在の場所に移転してからずっと働き続けるインド人マネージャー2人がいる。
思えばコロナ禍のロックダウンの時期も、「London Muffin」はわたしたちプネーの住人とともに、その苦難を耐え抜いた仲間だった。
街の人通りが途絶えても、顔を見られなくなっても、はるばる遠く海を越えてやってきた小さなベーカリーがそこにあることが、無意識にも心を落ち着かせてくれた。
「London Muffin」は、世界一のクリームパンとともに、わたしにとっていつだって心のよりどころであり続けてほしいのである。
|
About the author
|
|
|
Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
|
User Comments