真夜中の安心を届ける: チェンナイの女性専門オートリクシャー
Posted on 24 Sep 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
日本の「子ども食堂」を巡る議論にも見られるけど、こうした話はとかく美談にされがちだけど、根本的な問題を浮かび上がらせるものであるんだよね。
LinkedInで、チェンナイで活躍する女性専門のオートリクシャー運転手さんを紹介する記事を見かけたので、調べてみると2019年の記事がヒットした。
Night Rides for Women, Free Rides for Poor: Meet Chennai’s Auto Akka
真夜中の12時を過ぎ、長い1日を終えてそろそろ休もうとする時間であっても、チェンナイのラージさん(PV Raji Ashok)の仕事用携帯が鳴れば、それを無視するわけにはいかない。
それは、夜勤に向かう女性からの配車依頼だった。
タクシー運転手としての自らの仕事は「医者や警察官の仕事と同じくらい重要だ」と語る。
残念ながら、インドでは女性が巻き込まれる犯罪件数は減らない。
夜勤の仕事、深夜便に合わせた空港への移動、緊急事態での外出など、女性たちは暗闇で数え切れないほどの恐怖を強いられている。
このような状況では、移動をタクシーや運転手に頼るのは避けられない選択である。
乗車のたびに募る不安を余儀なくされる女性たちに、ラージさんは車両と運転手の情報をメモし、信頼できる同僚や家族、友人などに送り、移動経路を共有することを勧めている。
「真夜中でも、酷暑期の午後でも、女性の乗車を断ることはありません。8~9時間の勤務が終わった後でも、チェンナイ空港まで行きたい女性や、夜勤の女性からたくさんの電話がかかってきます。私はすべての依頼を引き受けます。唯一の条件は、スケジュールを調整するためにも、少なくとも1時間前までに予約してもらうことです」と説明する。
ラージさんは、女性たちから「ラージ・アッカ」という愛称で呼ばれている。
この20年間、毎日9時間勤務を続けている。
しかも、小さな子供、高齢者、そしてタクシー代を払えない女性たちは無料で乗せている。
毎日30回近くも乗務し、現在の月収は3万~4万ルピーという。
オート運転手(リクシャーワーリー)としての道のりは、チェンナイの道路と同じくらい険しいものだった。
ケーララ州パラッカード(Palakkad)出身で、哲学の学士号を持つ。
学生時代に村のオートリクシャーワーラーだった男性アショークさんと恋に落ち、後に結婚した。
結婚当初の苦労については詳しく語らないものの、2人はコインバトールへ移住し、アショークさんがリクシャーワーラーを務める間、ラージさんは旅行代理店で会計士として働いた。
しかし、1998年にコインバトールで発生した爆破テロ事件で60人近くが死亡し、友人や同僚を含む数百人が負傷したことをきっかけに、夫婦はチェンナイに拠点を移した。
ところがチェンナイでは、資格や経験のあるラージさんを雇ってくれる会社がなかなか見つからず、最終的に夫と同じオートリクシャー運転手として生計を立てることを決めた。
交通量の多いチェンナイでの慣れないリクシャーワーリーとしてのデビューは順風満帆とは程遠かったが、両親と夫の支えによりほどなく上達し、女性に特化した乗務が評判を呼ぶようになった。
この数年は、チェンナイ市内の大学で講演を依頼されるまでになった。
リクシャーワーリーを目指す女性たちへの運転講習も実施している。
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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