インド人留学生の新定番はドイツ: 米国・カナダ離れが加速
Posted on 12 Sep 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
日本に渡って行ったあのインド知人による、あまりにも分かりやす過ぎる一連の行動も、本人にしてみれば決死の「survival instinct」の発動だったのかもな。知らんけど。
「upGrad Transnational Education(TNE)」の2024年度版レポートによると、従来の留学先として筆頭だった米国とカナダへの出願件数が減少する中、ドイツの人気が急上昇している。
Germany overtakes US and Canada as top choice for Indian students abroad: Report
アメリカとカナダが留学先として不人気となった背景には、以下のような要因がある。
ビザ制度の厳格化
カナダでは学生ビザ取得条件が引き上げられ、資金証明額も大幅に増加。インド人学生の申請の約8割が拒否される事例も報じられている。
アメリカでもビザ面接や審査プロセスが厳格化し、申請の遅延や負担が増している。
学費・生活費の高さ
学費や滞在費が高騰し、費用対効果を重視する学生に敬遠されている。これに対し、学費が低廉または無償に近いドイツなどヨーロッパ諸国への関心が高まっている。
卒業後の進路の不確実性
永住権(PR)取得ルートが不透明化し、就労許可や滞在延長の見通しが立てにくい状況にある。アメリカのOPT制度やカナダの移民政策の見直しが影響している。
政策の不安定さと処理遅延
ビザ審査に時間がかかるケースが増え、申請拒否リスクも高まっている。特にカナダでは留学生急増により住宅や社会インフラが逼迫し、その結果として政策が厳格化している。
学生の価値観の変化
かつて主目的だった「永住権取得」から、「キャリア形成」「費用対効果」「生活コスト」といった実利重視へとシフトしている。upGrad TNE レポートもこの動向を指摘している。
米国の大学への出願件数は前年比13%減少し、カナダは17.85%から9.3%に減少した。
一方、ドイツは2022年の13.2%から2024年度には32.6%に増加し、最も多くのインド人学生が目指す留学先となっている。
この報告書では、アラブ首長国連邦(UAE)も留学先として著しく成長しており、実際、同国内の留学生の42%はインド人が占める。
ドイツのほか、アイルランド(3.9%)、フランス(3.3%)などのヨーロッパ諸国も増加傾向を見せている。
報告書は、10万人の学生からの回答に基づく調査をもとにまとめられ、学生の動機の変化を明らかにしようと試みている。
回答者のうち、かつての筆頭だった永住権取得を主な目的とするのは19.9%と比較的少なくなり、代わってキャリアを重視した目的が45.7%と最多を占めている。
ただし、資金調達は依然として大きな課題となっており、33%が教育ローン、28%が奨学金に頼って学費を賄っている。
大学院課程への留学が依然として主流で、学生の86.5%が修士号を取得している。
経営学およびMBAコースは3年間で30%から55.6%へと劇的に増加した。
うちSTEM分野は38.9%という高い割合を維持している。
報告書によれば、2024年には76万人以上のインド人が高等教育のために海外へ留学した。
「upGrad Study Abroad」の大学パートナーシップ担当副社長であるプラニート・スィン(Praneet Singh)氏は、この調査結果について「今日のインド人学生は、地政学的な意識、費用意識、そしてビザ制度の厳格化や卒業後の進路の不確実性といった現実を踏まえ、教育の選択についてより慎重になっている」としている。
出典例:
Times of India, 2025-09-09: 「Canada rejects 80% of Indian student visas」
Times of India, 2025-09-06: 「US shuts down third-country visa option」
Economic Times, 2025-06-10: 「How Canadian dream has turned into a gamble」
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Yoko Deshmukh
(日本語 | English)
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。
ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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