ハート型からBluetoothまで――ケーララ州のユニークな傘文化

 

Posted on 11 Sep 2025 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh

ここの商品に目が釘付けになったきっかけは、ハート型の傘や、写真のような「相合い傘」だったんだけど、公式ウェブサイト、早く再開しないかな。



インスタグラムで偶然見かけて興味を引かれ、投稿を保存しておいたはずなのだが、投稿主が削除してしまったようで見つからなくなってしまった。
そのため、同じ傘メーカーを紹介していると思われる「The Better India」の記事を見つけた。
こちらを参考にしつつ、ケーララ州の「おもしろ傘メーカー」を紹介したい。

How Poppins, Bluetooth & One Family Helped Build Kerala's Iconic 'Popy' Umbrellas

ケーララ州では、休暇後の新学期に学校へ持っていくものを新調する際、子どもが親にせがむ定番アイテムがある。
それは、新しい「Popy」の傘だ。

同州を代表する傘ブランド「Popy」は、「傘」のアイデンティティを単なる日用品から「マストハブ」商品へと変貌させた。

1995年の創業以来、州内の人なら誰もが馴染みのあるキャッチーなCMや個性的な製品によって、州全土で広く知られるブランドとなり、今やインド国内にその名を馳せている。

同社の傘ラインナップは、ネオンカラーのベビーサイズから、スマートフォンとBluetooth接続して着信応答やセルフィー撮影ができる傘、暑い日に便利な扇風機付き傘まで、多彩にそろっている。

※訳者注: インスタグラムは盛んに更新されているが、公式ウェブサイトは「Under Construction」となっている。

Popy Umbrella Mart (@popyumbrellamart)

記事によると、この傘メーカーは1954年に「St George」というブランド名で設立され、1995年に創業者の息子2人が「John's」と「Popy」という別々のブランドとして独立した。

その後、2つのブランドはケーララ州の「傘の王者」として君臨し、市場シェアの70%を占め、売上高はそれぞれ10億ルピーに達している。

「Popy」というブランド名は、ダウン症と診断された創業者の弟が8歳で最初に発した言葉に由来する。大好きなキャンディー「Poppins」を指して「Popy」と言ったのがきっかけで、この言葉は家族の幸せと喜びを象徴するものとなり、ブランド名に採用された。

1995年の創業以来、「Popy」はマーケティングに力を入れ、90年代にはケーララ州で老若男女を惹きつけるキャッチーな広告を展開。2000年代半ばには子ども向け商品に注力し、照明や笛付き傘、頭にかぶるタイプの傘など、ユニークな製品を発売した。
また、ウォルト・ディズニー、マーベル、「Green Gold Animation」(人気アニメ『チョータ・ビーム(Chhota Bheem)』の制作会社)、スター・ウォーズなどと提携し、キャラクターをプリントした傘を販売。これが大ヒットし、新学期前の5月にはケーララ州各地の店舗に子どもたちが列をなしたという。

さらに「Popy Kids Club」も立ち上げ、子どもが電話をかけると架空の「Popyおじさん」と話せる仕組みを用意。80万~100万人近くの子どもが会員に登録した。

近年は、紫外線シルバーコーティング、撥水技術、防風構造、防サビメッキを施した高機能傘のほか、GPSトラッカー付き、自撮り棒付き、さらにBluetooth接続で持ち手から通話や音楽再生ができる傘も販売している。



 

傘の価格は100ルピーから6,000ルピーまで幅広く、インド全土のほか、アメリカやヨーロッパにも輸出している。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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