静かな挑戦: 16時間断食とホメオパシーで見つけた小さな希望

 

Posted on 14 Apr 2025 21:00 in うつとわたし、そしてインド by Yoko Deshmukh

写真は朝の散歩時にまもなく開通しそうなことに気づいた、「Kalyani Nagar」メトロ駅前でずっと工事中だった道路の進捗です。そして、ここに住んでいた人たちは、どこへ行ったのだろう。



初期パーキンソン病の診断を受けているシッダールタ母の症状を、日常生活で少しでも緩和する方法がないかリサーチしていたところ、週2回お世話になっているドイツ語のソニア先生がおすすめしてくれたのが、この断食法だ。
しかし、通院して毎日4回にわたる重めの服薬をしている高齢の義母に、16時間もの空腹状態が耐えられるのか、心もとないため、わたしが自分の体で実験してみることにした。

パーキンソン病もうつ病と似て、脳内の神経伝達物質が何らかの原因で不足するために発症するとされている。
具体的には、パーキンソン病ではドーパミンが、うつ病ではセロトニンやノルアドレナリンが主に不足するが、いずれも「神経伝達物質のバランスの乱れ」が共通要因として挙げられる。
また、どちらも精神的・身体的な慢性ストレスにより症状が悪化することが知られており、自律神経系や腸内環境、睡眠の質とも密接に関連している点も類似している。

わたしはこれまで4年ほどにわたり、日本やインドで精神科医師に処方された抗うつ剤を服薬してきたが、いずれも一向にうつ症状を改善する気配がないため、現在は断薬中である。
そんな折の先月、前述のソニア先生が、偶然にもドイツ発でインドでは割と一般的に流通しているホメオパシーの顆粒を分けてくださり、それを試しているところだった。

ホメオパシー(同種療法)は18世紀末のドイツで医師サミュエル・ハーネマン(Samuel Hahnemann)によって提唱された代替療法のひとつで、「似たものが似たものを癒す(like cures like)」という原理に基づいている。
たとえば、健康な人に特定の症状を引き起こす物質を、極限まで希釈して用いることで、同様の症状を持つ患者に自己治癒力を促すという考え方だ。
インドでは政府によって公式に認可されており、「AYUSH」という伝統医療制度の一環として多くの国民に利用されている。
ヨーロッパや南米でも根強い支持がある一方、科学的エビデンスが少ないため批判もある。

16時間の断食を始めたのは先週の水曜日なので、まだ1週間も経っていないが、解毒効果なのか2日目あたりにひどい下痢に見舞われた以外は、体調はすこぶるよい。
ちなみにわたしは、夜20時までに夕食を済ませ、翌日の朝食を抜いて昼食を取る、というタイムテーブルを設定している。
空腹感がマックスになるのは、体が習慣を憶えているのか、それまで朝食を取っていた時間帯で、それを過ぎると落ち着き、そうでもしているうちにすぐランチタイム=断食明けがやってくる。
24時間を、お腹の空き具合とともに過ごしている感覚が新鮮で、そうした生理現象という自然を直接に実感できるためか、気持ち的にも穏やかになっている。

間欠的断食(Intermittent Fasting)とは、一定時間の食事制限と摂取を繰り返す食事法で、近年さまざまな健康効果が注目されている。
代表的な方法としては、まさにわたしが実践している「16時間断食+8時間食事可」スタイル(16:8)のほか、「週2日の断食日を設ける5:2法」、また「24時間断食を週1回」などがある。

主な効果としては以下が挙げられる。
インスリン感受性の向上
オートファジー(細胞の再生・老廃物除去)の促進
体重・内臓脂肪の減少
腸内環境の改善
脳の認知機能・集中力の向上

パーキンソン病やうつ病のような慢性疾患に対しても、間接的にではあるが、神経細胞の再生支援や炎症抑制効果が期待できるとして研究が進められている。

ホメオパシー(Homeopathy)についての参考資料:
World Health Organization (WHO) on Traditional and Complementary Medicine
(WHOの伝統医療に関する包括的な概要。ホメオパシーも含まれる)
National Center for Complementary and Integrative Health (NCCIH - USA): Homeopathy
(米国の医療研究機関によるホメオパシーに関する批判的かつ中立的な解説)
Ministry of AYUSH, Government of India
(インド政府が推進する伝統医療制度の一環としてのホメオパシーに関する情報)

間欠的断食(Intermittent Fasting)についての参考資料:
Harvard Medical School – Intermittent Fasting: Surprising Update
(ハーバード大学医学部による間欠的断食の科学的解説)
Johns Hopkins Medicine – Intermittent Fasting: What is it, and how does it work?
(米国ジョンズ・ホプキンス大学病院の解説)
NIH (National Institute on Aging) – Caloric Restriction and Fasting Diets
(加齢研究と断食に関する研究レポート)

パーキンソン病とうつ病の共通点に関する参考資料:
Parkinson’s Foundation – Depression and Parkinson’s
(パーキンソン財団によるうつ病との関係解説)
National Institute of Neurological Disorders and Stroke (NINDS): Parkinson’s Disease Overview
(米国国立神経疾患研究所によるパーキンソン病の総合情報)
Frontiers in Psychiatry (Open Access Journal) – The Overlap of Depression and Parkinson






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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