ムンバイー豪雨:2台目の気象ドップラーレーダーの設置を高裁が要請

 

Posted on 02 Sep 2017 23:00 in インドの政治 by Yoko Deshmukh

巨大で過密な都市となったムンバイーのインフラを再整備するのは、並大抵のことではないので、せめて予報精度を上げようという試みでしょうか。



インド、特に都市部の生活水準は、この10年ほどで大きく向上してきたとはいえ、ひとたび大きな自然災害が発生すると、都市機能がいとも簡単に麻痺してしまう点は大きな問題点だ。

先月29日から降り続いた豪雨によって、ムンバイー周辺は死傷者も発生するほどの洪水被害に見舞われ、これに伴う交通規制や列車の運休、高速道路の閉鎖などが相次ぎ、たちまち陸の孤島となった。
31日には5階建てのビルが倒壊し、30人以上が下敷きとなり犠牲になった。
1,800万人を超える人たちが暮らす巨大都市、ムンバイーといえども、この有様なのだから、ひとたびプネーで災害が発生したら、一体どうなるのだろうか。
インドの都市整備は、大きな転換を迫られている。

ムンバイーは2005年にも水深が深いところでは2~3メートルにも達する大洪水が発生したほか、モンスーン期が到来するたびに、老朽化した排水口の詰まりなどが原因で、道路の冠水が相次ぎ、過去の教訓が生かされているとは言い難い。
唯一の救いは、そうした事情を熟知した市民による、「善きサマリア人の法」に則った善意の助け合いが、多くの場面で力を発揮している点だろうか。

ボンベイ高等裁判所では、このような自然災害時に、貧弱なインフラを放置した結果としての人災の要素を少しでも緩和すべく、降雨の予報精度を向上するために2台目の気象ドップラーレーダーを導入する可能性に言及したと、NDTVが報じた。

Can't Control Nature But Haven't Moved An Inch: Bombay High Court On Mumbai Rains - NDTV

この発言は、2年前から係争中の公共利益訴訟(Public Interest Litigation)におけるマンジュラ・チェルール(Manjula Chellur)長官と、ジャムダール(NM Jamdar)判事によるもの。
「自然をコントロールすることはできないが、幾度もの災害を経験しておきながら、進歩がない現状は問題である」として、2台目の気象ドップラーレーダーを設置することを自治体に求めることになった。

レーダーを設置しただけでは、根本的な解決にはならないし、レーダーに基づき警報が発令されたとして、過密都市ムンバイーで、避難所などの設備をどう確保するのか、という問題もあるが、「1ミリも変わっていない」という状況に少しは変化をもたらすことにはなるのか。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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