マハーラーシュトラ州で相次ぐ群発地震、その原因とは
Posted on 17 Aug 2026 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh
ここプネーでは体感こそしないけど、地球全体で地殻の動きが活発になっているように思えます。
マハーラーシュトラ(Maharashtra)州ではこの2週間ほど、小規模な地震が相次いでおり、その解説となる記事を「The Hindu」が掲載している。
Why is Maharashtra experiencing an earthquake swarm? | Explained
この期間に発生した29回の揺れのうち、24回はナーシク(Nashik)とその周辺、4回はパルガル(Palghar)、1回はナーグプル(Nagpur)で観測された。
それほど強い地震ではなく、最大だったのは8月8日にナーグプルで発生したマグニチュード4.3の地震だった。
ただし、震源はいずれも比較的浅く、深さは約5~8キロだった。
マハーラーシュトラ州では、これまでも群発地震がたびたび発生している。
地震とは、地殻にある亀裂、または構造的に弱い領域を指す断層に沿って岩石が突然動く現象だ。
普段は摩擦によって押し合っている岩石に力が加わると、内部に応力が蓄積していく。
時間の経過とともに応力が増し、ある時点で岩石が破壊され、その断層の一部がずれる。
このとき、蓄えられていたエネルギーが地震波として放出される。
地震波にはいくつかの種類がある。
P波は、進行方向に沿って岩石を圧縮したり引き伸ばしたりする。
S波は、岩石を横方向にずらすように動かす。
表面波は、地球の表面に沿って伝わる。
これらの波が合わさることで、地上にいる人々が地震の際に感じる揺れが生じる。
一般に「地震」と呼ばれるものでは、まず本震(mainshock)が発生し、その後に余震(aftershock)が続くことが多い。
しかし、群発地震では明確な本震が存在しない。
その代わり、同程度の規模の地震が複数回発生し、そのマグニチュードも何日にもわたって上下することがある。
ただし、群発地震が起きたからといって、より大きな地震が発生する前兆であることを意味するわけではない。
また、世界各地で発生するすべての群発地震が、同じ原因によって引き起こされるわけでもない。
マハーラーシュトラ州のパルガルでは、2018年11月から大規模な群発地震が発生し、1年以上にわたり数千回の地震が記録された。
その後も国立地震学センター(National Centre for Seismology、NCS)は、期間こそ短いものの、同様の地震活動を複数回記録している。
よく知られた例として、2024年半ばには、イタリア・ナポリ近郊の火山地域、カンピ・フレグレイ(Campi Flegrei)で大規模な群発地震が発生した。
特に5月20日には、わずか数時間のうちに150回を超える地震が記録され、その中にはマグニチュード4.4の地震も含まれていた。これは同地域では40年間で最も強い地震だった。
マハーラーシュトラ州はプレート境界から遠く離れており、ここで発生する地震は「プレート内地震(intraplate earthquake)」と呼ばれる。
州の大部分はデカン高原(Deccan Plateau)に位置しており、その基盤岩の多くは「デカン・トラップ(Deccan Traps)」として知られる玄武岩質の溶岩流から構成されている。
この地形は約6,600万年前、インド中西部の亀裂から大量の溶岩が噴出したことによって形成された。
長い年月をかけ、数千もの個別の溶岩流が積み重なり、場所によってはその厚さが数百メートルに達した。
それらが固まった後、厚い玄武岩層の内部には亀裂や、そのほかの物理的に弱い部分が形成された。
こうした部分は、断層と同じように応力を伝えることができる。
インドプレートは現在も移動し、変形を続けており、その内部にも応力が蓄積している。
デカン高原はインドプレートの内部に位置しているため、こうした応力によって、高原内部にある「断層」が動く可能性がある。
ナーシク周辺を対象とした研究では、せん断帯(shear zones)や亀裂など、地域の地震活動に関係する地質構造も確認されている。
水は土壌や亀裂、透水性のある岩石を通って地下深くまで浸透することがある。
そして、断層につながる亀裂のネットワークに水が達すると、その場所の圧力が高まり、岩石に加わる応力をさらに増大させる可能性がある。
これによって地震が引き起こされた場合、この現象は「降雨誘発地震活動(rainfall-triggered seismicity)」と呼ばれる。
2018年のパルガルの群発地震を衛星データを使って調査した研究者らは、地盤沈下の証拠を確認し、雨水が地下へ浸透したことで断層の活動が誘発された可能性を指摘した。
さらに詳しい研究では、2019年1月から2020年10月までにパルガルで発生した2万1,000回を超える地震のデータが分析された。
この研究では、降雨後に地震活動が増加していたことに加え、水が亀裂や割れ目に入り込み、間隙水圧(pore pressure)を上昇させ、群発地震を引き起こす一因となったと結論付けられた。
ただし、雨水が原因としてどの程度重要なのかについては、ほかの研究ではやや異なる結論も示されている。
そうした研究では、正断層運動(normal faulting)、非地震性変形(aseismic deformation)と呼ばれる現象、さらに地殻内部のテクトニックな応力や構造なども、群発地震に寄与する要因として挙げられている。
非地震性変形とは、地殻が徐々に動くものの、検出可能な地震を発生させない現象を指す。
実際、マハーラーシュトラ州のコイナ(Koyna)では、研究者らがKoyna-Warna貯水池周辺で数十年にわたり発生している地震を観測してきた。
これは「貯水池誘発地震活動(reservoir-triggered seismicity)」の著名な事例として知られている。
ハイダラーバードのCSIR国立地球物理学研究所(CSIR-National Geophysical Research Institute、CSIR-NGRI)とガジアバードの科学・革新研究アカデミー(Academy of Scientific and Innovative Research:AcSIR)の研究者らは、2025年に学術誌『Scientific Reports』に発表した論文で、次のように記している。
「1967年12月10日、インド・マハーラーシュトラ州のコイナ川(Koyna River)にあるコイナ・ダムの南西で、マグニチュード6.3の地震が発生した。近隣のコイナナガルでは広範囲にわたる被害が発生し、住宅が完全に倒壊し、200人を超える人々が死亡した。
この地域では、それほど大規模な地震は前例がなく、1956年にダム建設が始まる以前には、地震活動があったという記録もなかった。
関連する貯水池への貯水が1962年に始まった後、コイナ地域で地震活動が発生し始め、120キロ離れたプネーの地震観測所でも記録できるようになった。
こうした小規模な地震活動は、その後、1967年のコイナ地震の発生へと至った。」

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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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