アッサム発クラフトチーズ、「ブート・ジョロキア」で新たな味覚の融合
Posted on 03 May 2026 21:00 in インドビジネス by Yoko Deshmukh
爪楊枝の先ぐらいでも激辛にむせかえる唐辛子をチーズと合わせるところ、なんとなくブータンの唐辛子料理「エマ・ダツィ」を思い起こさせます。
「世界で最も辛い唐辛子」としてギネスブックに記録されたことのあるブート・ジョロキア入りチーズを手がける、アッサム州ディブルガル(Dibrugarh)発のクラフトチーズブランドについて、「The Hindu」で詳しく紹介していた。
This artisanal cheese brand from Dibrugarh is fusing Assam's iconic chilli bhoot jolokia with creamy cheddar
ブラマープトラ川のほとりにある都市で、国内でも有数の歴史と規模を誇る茶園が集まる地として知られているディブルガルは近年、新たにチーズづくりの試みでも注目を集めている。
中でも、州内初のクラフト系少量生産チーズブランド「Queso」は、ヨーロッパの伝統とアッサムの風味を融合させたチーズ作りにこだわっている。
看板商品は「ブート・ジョロキア・チェダー(Bhoot Jolokia Cheddar)」で、アッサム特産の激辛唐辛子とクリーミーなチェダーを大胆に組み合わせた一品である。
もう一つの人気商品は「パルメザン&ガーリック・チェダー(Parmesan and Garlic Cheddar)」だ。「クラフトというのは、すべて100%生乳から作っているという意味です」と、Quesoの創業者アビラーシャ(Abhilasha)は語る。
「インド市場にはプロセスチーズはあふれているが、生乳から作るチーズはなかった。そのことに疑問を持ったことが出発点でした。」
「現在インドには約15のクラフトチーズメーカーがあり、その多くは伝統的なヨーロッパ式製法に従っています」とアビラーシャは言う。
アビラーシャがチーズづくりに乗り出したきっかけは偶然だった。
フランス企業に勤務していた時代、ドバイやグルガオンで火力・太陽光発電所の建設に携わった後、パンデミックを機にディブルガルへ戻った。
そこで2022年に「VWindsong Café」を開業し、日々提供するパスタやピザのために大量のチーズが必要になった。
同氏はインド各地のチーズメーカーに問い合わせたが、安定したコールドチェーン物流が不足していたため、どこも供給できなかった。
そこでモッツァレラやクリームチーズの試作を始め、その後渡英し、Academy of Cheeseで研修を受けた。
「学ぶ中で、インドは世界最大の牛乳生産国であるにもかかわらず、子どもたちに加工チーズを与えている現状を知りました」とアビラーシャは語る。
「これほど良質なミルクがあるのに、なぜ輸入する必要があるのでしょうか。」
スペイン語でチーズを意味する「Queso」は、2023年初頭に立ち上げられた。
現在では約20種類のチーズを製造している。
少量生産のクラフトチーズメーカーとして、多くの工程は手作業で行われている。
同社は現在、1つ最大5キログラムの小型チーズホイールを生産しており、原料のミルクはディブルガルから数キロ離れたブラマープトラ川対岸の農村ボギビール(Bogibeel)の緑豊かな牧草地で自由に放牧された牛から調達している。
「牛が食べるものは、そのままチーズの味に反映されます。夏のミルクは脂肪分が少なく軽やかなチーズになり、冬のミルクは脂肪が多くバターのような風味になります。それがクラフトチーズの魅力であり、季節ごとに変化するのです」とアビラーシャは説明する。
Quesoのチームが手がけるチーズには、ガーリック・チェダー、バジル・ゴーダ、スモークド・ゴーダ、トム、プロヴォローネ、ハルーミ、パルメザンなどがある。
その中でも興味深いのが「モルビエ」で、滑らかな食感と独特の見た目で知られるフランスの伝統チーズに、アッサム料理で使われるカール(khar、バナナの皮の灰)を組み合わせたものだ。
カフェではドーサやサンドイッチ、チリチーズトーストに使われ、人気を集めている。
さらに、アルプス地方のチーズに着想を得た「アッサム・ブロッサム(Assam Blossom)」も開発された。
これはインドナツメを練り込んだチェダータイプのチーズで、上部アッサムの春の花々でコーティングされた独特の一品である。
カフェ開業当初、近隣の村から多くの女性が働きたいと申し出たが、カフェ業務には訓練を受けたシェフが必要なため採用できなかった。
その後、ミルクや地元の食材に精通している彼女たちに再び声をかけ、チーズ文化や製造技術を教えた。
「今ではディブルガル周辺の村出身の女性4人が中心となってチーズづくりを担っています」とアビラーシャは語る。
Quesoのチーズは、ディブルガルのコンボイ・ロードにあるWindsong Caféで購入でき、価格は(チリ・クミン・チェダー150グラムで)280ルピーからとなっている。
また、フレッシュチーズはアッサム州内限定販売、熟成タイプのハードチーズはインド各地へ配送している。
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Yoko Deshmukh
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インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。\r\n\r\nASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.
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