パキスタン・カラチ:インド人とパキスタン人が協力して飢餓に取り組む

 

Posted on 14 Jun 2016 23:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

このような話は、「貧しい国の人たちが助け合っているいい話」として片付けたくありません。73億人にまで膨れ上がった人類だれもが当事者だとわたしは考えています。



*Photo from Al-Jazeera

パキスタンのカラチで今年2月、クリケットのワールドカップ試合が開催され、パキスタン国内はもとよりインドからのファンも多く観戦に訪れ「因縁のライバル」同士の対決に湧いた中、一部の人たちが国籍を超えた2カ国の共通の敵、「飢餓」とともに戦っていたことを、中東最大の報道メディア、アルジャジーラ(Al-Jazeera)がウェブ版で報じていた。

Pakistanis and Indians unite to feed the poor

この活動の中心となったのは、2014年にデリーの路上生活者150人に食事を提供しようとニール・ゴース(Neel Ghose)さんらが立ち上げたロビンフッド・アーミー(Robin Hood Army:RHA)だ。

食糧農業機関(Food and Agriculture Organization)の調査によると、実に全世界で人間の消費を目的に生産される食糧の三分の一にあたる13億トンが、毎年廃棄されているという。
世界人口73億人のうち、9人に1人は十分な食糧を得られず、飢えに耐えているとされている。

しかもパキスタンでは6割の人が経済的な理由など何らかの形で、安価で栄養価の高い食糧を十分に得られていない状況にあると感じている。

こうした中、RHAに呼応したカラチ、ラホール、イスラマバードの若者グループが毎週日曜日、レストランなどから出た余り物を必要とする人たちに分配するという活動に従事している。
現在ではRHAパキスタン支部も立ち上がり、同団体の活動理念である「チームは違えど、同じ側へバットを振る」、つまりインドとかパキスタンとかの垣根を越えて協力し、食糧の適切な分配に取り組んでいる。

現在RHAはパキスタンとインドのほか、バングラデシュ、マレーシア、インドネシアの5カ国23都市に、3,000人の活動家を抱えるほどに成長している。

Al-Jazeeraの記事には、たくさんのおいしそうな食事と、それを囲む安心した、幸福に満ちた人たちの顔を捉えた写真が豊富に掲載されている。

ところである人がわたしに、「日本にはおいしいものがこんなにもあふれているのに、なぜ日本人には太った人が少ないのか」との疑問を投げかけてきたことがあった。
食べ物に囲まれているとかえって人は安心し、必要な分だけ食べて満足できること、そして身体もいつでも必要な栄養がやって来ることを分かっているから、溜め込もうとしないからだろう、と返答したが、果たしてそうだろうか。
戦後70年をかけて、小さな国をすっかり豊かにした日本人だが、近年は貧困や飢餓の足音もはっきりと聞こえてくる国となってきており、決して他人事ではないことは忘れてはならない。

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Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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