ケーララ州のピナライ・ヴィジャヤン(Pinarayi Vijayan)州首相は、1日に開催された特別議会において、同州が極度の貧困(extreme poverty)から脱却したと宣言した。
国内でこのような宣言を行う州は初となる。
Kerala declared free from extreme poverty, first State to do so
野党の統一民主戦線(United Democratic Front、UDF)は、これを「空虚な宣言」と批判し、州議事規則(house procedures)第300条に基づき、首相が声明を発表するためだけに特別議会を招集することの妥当性を疑問視し、議会を退席した。
ヴィジャヤン州首相は、この宣言は地方選挙を控えた宣伝活動だとする野党の主張を否定し、「極度の貧困緩和プロジェクト(Extreme Poverty Alleviation Project、EPEP)」の実施は2021年に現与党の左翼民主戦線(Left Democratic Front、LDF)が初めて閣議で決定したことだと述べた。
この決定から2か月以内に、地方自治体の代表者、クドゥンバシュリー(Kudumbashree、ケーララ州の女性自助グループによる貧困削減プログラム)の職員、ボランティア、そして職員を含む市民の積極的な参加を得て、極度の貧困世帯を特定するプロセスが開始されたと説明した。
地方自治体レベルでのデータ収集を通じて特定された家庭は、区委員会によって精査され(中略)、グラマ・サバ(grama sabhas、地方議会)に提出されたリストによると、6万4,006世帯から10万3,099人が極度の貧困層として特定された。
食料、保健衛生、住居、収入といった要素別に、世帯ごとにマイクロプランが作成された。
第一段階では、配給カードやアーダール・カード(Aadhaar card、インド政府が発行する12桁の個人識別番号で、国民一人ひとりの生体情報と紐づけられた身分証明書)といった基本的な書類さえ持たずに生活に困窮していた2万1,263人に必要な書類が提供された。
クドゥンバシュリーを通じて、極度の貧困状態にある2万648世帯への定期的な食料配給が確保された。
保健サービス、医薬品へのアクセス、予防接種、緩和ケア、臓器移植も保証された。
また、4,677世帯に住宅が提供され、2,713世帯には土地と住宅が提供された。
4,394世帯には生活支援が提供された。
合計3万5,041世帯がマハートマー・ガーンディー国家農村雇用保証制度(Mahatma Gandhi National Rural Employment Guarantee Scheme、MGNREGS: 農村部の成人に年間100日間の雇用を保障するインド政府の公共事業制度)の対象となった。
州教育省を通じて5,583人の児童に特別な配慮を提供し、331人の学生に奨学金が支給された。
合計428世帯の単身世帯が安全なシェルターに移された。
ヴィジャヤン氏は、1970年代の学術誌や国連報告書を引用し、ケーララ州が貧困や高出生率などの問題に直面していたことを指摘したうえで、大衆運動や進歩的な政府による継続的な介入、農業関係の包括的な改革、保健・教育分野への公的介入を通じて、州は進歩を遂げてきたと述べた。
「ケーララ州は、極度の貧困撲滅によって、国連が策定した持続可能な開発目標に沿った目覚ましい進歩を遂げた。州は福祉活動の実験場となっている。極度の貧困緩和においても州の試みが奏功した。この歴史的瞬間が国内の他州への模範となることを期待している」と述べた。
ヴィジャヤン氏によれば、州政府はこの計画の実施に100億ルピー以上を費やしてきたという。