動けなかった日々の記録

 

Posted on 23 Oct 2025 21:00 in うつとわたし、そしてインド by Yoko Deshmukh

ときどき息ができなくなるくらい苦しかったけれど、それでも生きています。



厚い雲に覆われた薄暗いモンスーンの日々に入ってから、まったく動けなくなっていた。

活動らしきことは何もできず、あらゆる方面への関心を失い、外出もできず、読書もピアノも手につかず、「なぜ生きているのか分からない」という症状に苦しみつつ、ただ日々を生き延びるので精いっぱいだった。
時折、気力を振り絞って翻訳会社のトライアルを受検しようとするも、「誠に残念ながら」の返信が並び、さらに、ぼんやりした頭で体裁のみ整えた何年も前に作成した履歴書すら、当然のことながらはじかれてしまうことが続いた。
だれかに「助けて」ということすら、はばかられた。

得られた収穫はある。
ここまで落ち込むと拒絶に対する耐性ができるので、どういった結果になろうともめげずにトライアルを受検し続けるだけの図太いメンタリティは育まれた。
実際、さまざまな会社のトライアル原稿に取り組んでいるひとときは、空虚な日々にも「すべきこと」を提供してくれると同時に、わたしが本当に好きなことを職業として続けていきたいという強い気持ちを持ち続けるための、わずかながらの希望の灯をともしていた。

やがて長かった雨季がようやく明け、雲間から日光が差しはじめた。
朝日を浴びる散歩の日課を再開した。
ひさしぶりに歩く街並みは、いつもと同じに見えて、かつてはパブであった店舗がティファンの店に入れ替わっていたり、建設中のビルが大きく進捗していたり、どこからやってきたのか新顔の野良イヌや野良ネコが増えていたりと、ところどころにわずかな変化が見られた。
自分の周囲の小さな世界さえ、土砂降りの雨の中にあっても少しずつ動いているのだった。

「苦境こそ、あますところなく活用し、次なる行動への燃料とすべき機会である」――ある方にかけられた言葉だ。
キャリア面では底を打った自覚があるものの、衣食住こそ困窮する事態に至っていないこと、これを常に強く自覚している。
そして、おそらくこの苦悩の中でしか直視できなかったであろう自らのありのままの姿に、冷静に向き合うことができた。
怠惰、注意欠陥、無計画、先延ばし。
こうした欠点は、多忙な日々にも心の余裕を喪失しがちであることがよく分かった。

これから運命がどのように向かうかは分からないが、よりよく生きるための対策を練り、そして謙虚に学びを続けたい。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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