グジャーラートの高齢夫妻、ロイヤル・エンフィールドで3万キロの旅路

 

Posted on 14 Feb 2025 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

確かに、この記事の中では子供や孫の存在についてつゆほども触れていないな。



「The Better India」が、サイドカー付きバイクでインド全土をくまなく旅する77歳のMohanlalさんと71歳のLeelabenさん夫妻を紹介していた。

“She’s the Battery to My Bullet’: 70-YO Couple Travel 30,000 Kms, Visit Every State on 1974 Bullet

Chauhan夫妻は、サイドカーを取り付けた1974年型のロイヤル・エンフィールド(Royal Enfield)バイクでこれまで4回にわたってインド各地、累計3万キロメートル以上を走破してきた。

現役時代、心臓発作を起こし、医師からは「階段を上ることさえ禁じられる」ほど容態が悪化したこともあったMohanlalさんだが、石油天然ガス公社(ONGC)を退職後、時間に余裕ができたことから何度かソロトリップを楽しむようになった。
一方、だんだんと長い旅行中に妻がいない寂しさに耐えられなくなり、サイドカーを取り付けることで2人旅ができるようにした。

1回目の旅は2015年、自宅のあるグジャーラート州ヴァドーダラーを出発、マハーラーシュトラ州、ケーララ州、ゴア州、カルナータカ州、タミル・ナードゥ州を通り、(同州の)ラーメシュワラムから国境を越えてスリランカへ渡航予定だったところへ、同国で政情不安が発生してしまった。

2018年、夫婦は2回目の旅として、目的地をタイと定め、マッディヤ・プラデーシュ州、ウッタル・プラデーシュ州、ジャールカンド州、オリッサ州、西ベンガル州、アッサム州、そしてメガーラヤ州を抜けたところで、同州内で発生した土砂崩れのため足止めされた。
目標は達成できなかったが、「行く先々で忘れられない思い出をたくさん育むことができた」とMohanlalさんは語る。

うちひとつが、マッディヤ・プラデーシュ州を通過時のこと。
Leelabenさんが転倒して足首を骨折し、手術を受けることになり、2週間近く入院する事態に陥ったが、「妻はギプスを巻いてもらったらさっさとサイドカーに乗り込み出発の合図を送ってきました。帰宅したいなどという言葉は一切出てこなかった。意志の強い女性です」とMohanlalさん。

実際、Leelabenさんは2人の「経理係」として欠かせない存在だ。
食費、宿泊費、ガソリン代を含む1日の予算を3,000~4,000ルピーとし、この範囲に収めることを誇りにしています。1回の旅行でだいたい20万ルピーを見積もっているという。

2019年、2人はラジャスターン州、パンジャーブ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州を通ってジャンムーまで行き、インドのほぼ全ての州を制覇した。
その元気の秘訣は、行く先々でシンプルな菜食料理を適度にいただくことという。

2020年のアーンドラ・プラデーシュ州旅行以来、コロナ禍の影響もあり自宅にいる日々というLeelabenさんは、「夫と一緒に旅行すると楽しくて、2人は親友になれるんです」と話す。

インドでは予防医療の不備もあり、心臓血管疾患により若くして命を落とす人々が多い中、高齢まで夫妻ともに生き残っていることは、まだまだ奇跡と呼びたいほど幸運だと言える。
しかし多くの高齢者らは総じて日本の高齢者ほどの元気がなく、早々と被介護者になる生活を選択しているように見えることがある。

現代のインドにも日本にも、高齢者のメンタリティを二分する要素は自立心の有無であるように思う。

世界で最も進んだ高齢社会ということ、そして高齢者に比較的経済力がある人が多く、また社会保障制度にアクセスしやすい日本では、個人としての自立や公的サービスの利用が当たり前になっている。
一方でインドの高齢者は、家族と一緒にいることや家族を支えることへの意識が強い。
伝統的価値観や宗教的背景が残るインドでは、「家族との時間」が老後の中心となっているためである。

Chauhan夫妻の例は、実際にMohanlalさんにもLeelabenさんにも、身体上の不安がないわけではないが、長距離の旅を続けることにより、アクティブに過ごすこと、予算管理をしっかり行うこと、そしてシンプルでバランスの取れた食事を維持することの大切さを、身をもって示す例となっている。
ふたりがお互いを「親友」と呼ぶほどの強い社会的つながりや支え合いは、全体的なウェルビーイングを支える強力な要因となり得る。

日本よりも高齢者の老化が進みやすい原因が多数存在し、若年層にも心臓病の不安が広がっているインドだが、自らの健康を積極的に守る姿勢と新しい冒険を求める意欲があれば、逆境を乗り越えて充実した人生を送ることができるかもしれない。
 






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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