インド人と結婚してプネに住んでいる多国籍妻の会(仮)

 

Posted on 22 Mar 2016 23:00 in ASKSiddhiのひとりごと by Yoko Deshmukh

国籍もさまざまな華麗なる女性たちが集って、炎天下の屋外レストランで腹を抱えて笑いながら、あっというまに過ぎた2時間。ふと帰って来た現実は、人間とは何か、意思疎通とは何か、という問いを突き付けてきました。



自分の境遇からアンテナにかかりやすいということもあるのだろうが、プネにはインド人と結婚した外国人、特に女性が、意外にたくさん住んでいると思う。

本日は一段と暑さの厳しくなりつつあるランチタイムに、世界各国から縁あってこの街にやってきた「同志たち」が集い、短時間ながら声がかれそうになるまで大いに笑い、しゃべり倒した。

国籍は、ラトビア、フランス(ドイツ)、インドネシア、アメリカ、ウクライナ、そしてわたくし、日本。
インド人と結婚している、ということだけが共通点で、みんな人生も価値観も、そしてインドに対する姿勢や距離感もバラバラだ。

ピアノ教師をしているという、ブロンドヘアの美しいウクライナ人は、夫からの溺愛が悩みだという。
結婚3年目にして毎朝、カフェに連れて行ってくれるのだそうだが、「夫は何も注文しないの。私がコーヒーを飲む姿を見ているだけで幸せなんですって。私にばかり夢中なものだから、地元の友人もすべて失ってしまったのよ」と、真剣に嘆いていた。

スタイリッシュで、次から次へと発言するが、まったく嫌味のないアメリカ人は、祖国に父が残した不動産を2軒持ち、けっこういい家賃収入があることもあり、インドではヨガの修行や講師をしながら、好きなことをして、ひたすら楽しく過ごしているという。
ネイティブ英語の発音は聞き取りにくいことが多いのだが、彼女の話は最初から最後まで、すんなり頭に入ってきた。

話題が豊富で、頭の回転が早いラトビア人は、昨年、夫と旅行で日本を訪れたそうだ。
奈良公園の放し飼いの鹿たちが、のんびりしているように見えて、いかに「Deer Cookies(鹿せんべい)」持ちの観光客を虎視眈々と狙っているかを、鹿が群がる様子とあわせて見事なアクションを交えて克明に表現し、一同を爆笑の渦に巻き込んだ。

インドネシア人の女性は、昨年以来、お目にかかるのはまだ2回目にも関わらず、まるで旧知の間柄のような、おおらかで人を包み込むような魅力にあふれていて、わたしは大好きだ。
マラーティー語とインドネシア語に、共通する単語が多くあることを教えてくれた。

本日、集まった女性たちの中でも一番古くから知っている、フランス人の友人は、人から話を引き出すのがとてもうまく、例えて言うなら「刑事」だ。
堪能なドイツ語を活かして語学教師をしており、しかも自営の教室は常に大盛況、普段はとても忙しくしていてなかなか会えない。
生徒たちからも深く慕われている様子が、SNSの投稿で伝わってくる。

もうひとりのアメリカ人は、今週末に主催するセミナーの宣伝告知に余念がない。
プネで働く外国人女性たちの会「International Professional Women’s Society」(リンク先は上海本部)の依頼で、講師を務めることになったセミナーでは、「自分の持ち味を知る(Know Your Strength)」というテーマでワークショップをする。
彼女がこのために、どれほどの心血を注いで準備をしているかを知っているので、今から参加をとても楽しみにしている。

世界各国なまりの英語で、まくしたてるようにしゃべりまくる、こんなわたしたちに、1点だけ共通点があるとすれば、自国を遠く離れてインドに長く住んでいるものの、個々の人格を尊重され、ある程度は自由な考え方や暮らし方で、のびのびと楽しんでいるように見えること。

世界各地で、人間による人間に対する残忍な行為が止む気配がない。
インドの片隅にいるわたしには、なすすべもなく、祈ることしかできない。

国籍や人種、宗教や育ってきた文化や習慣が異なると、コミュニケーションは土台を確かめながら踏みしめる感じになり、本当に話したいことや伝えたいことがなかなか疎通できないことがある。

しかし、ただ「インド人と結婚している」という共通点だけで、すんなりと相手の話が(その内容がインドとまったく関係なくとも)吸収できたように、知的になり過ぎたわたしたち人間は、とりあえずお互いに1つでも共通点を見つけて、歩み寄ることはできないだろうか。






About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



Share it with


User Comments

Leave a Comment..

Name * Email Id * Comment *