インドでは、気候リスクが牛乳の需給にも影響しているという記事「Climate risk to widen India’s milk demand-supply gap」を、「Business Standard」紙に見つけた。
牛乳生産に対する気候リスクに早急に対処しない限り、牛乳の需要と供給のギャップが今後も拡大し続ける見通しだ。
インド工業連盟(CII)の食品・農業センター・オブ・エクセレンス(Food and Agri Centre of Excellence)と環境防衛基金(Environmental Defense Fund、EDF)が発表した、インドで気候変動に強い酪農システムを拡大するためのワーキングペーパーによると、牛乳生産量の年間伸び率はすでに6~7%から3.5~3.7%へと大幅に低下している。
一方、需要はこれまでと同じペースで着実に増え続けている。
同ペーパーは次のように指摘している。
「この(需要と供給のギャップの拡大)は、もはや農場レベルだけの問題ではない。企業の財務状況にも直接表れている。熱波の際には調達コストが急増し、投入コストの上昇分を牛乳価格に転嫁できないため利益率が圧迫される。さらに、暑熱ストレスによって牛乳の脂肪分やタンパク質含有量が変化し、多くの乳業会社が成長を託してきたチーズ、パニール、カードといった付加価値製品も脅かされている」
また、気温が摂氏1度上昇するだけで、1頭当たり1日1.5~2リットルの牛乳生産量が減少するとしている。
牛乳生産を巡って高まる気候リスクに対処するため、同ペーパーは、全国的な酪農データ・プラットフォームの構築、全国飼料安全保障戦略の策定、在来種を対象とする全国的な酪農認証基準の創設、気候変動に強い酪農に関する技能訓練機関の設置、さらに業界全体を対象とした排出量報告制度と、輸出に対応できる品質基準の導入を提言している。
EDFのインド担当チーフアドバイザー、Hisham Mundol氏は、次のように述べた。
「インドでどれだけの牛乳が求められているのか、家畜が健康を維持しながら安定的にどれだけの牛乳を生産できるのか、そして畜産農家と加工業者がそれをどのように利益を確保しながら供給できるのか。この三者の隔たりこそが、この業界が直面している本当の問題だ」
Mundol氏によると、インドの乳用家畜のうち、何らかの体系的な乳量記録の対象となっているのは1%未満であり、そのため、対象を絞った対策を講じることが難しくなっている。
「だからこそ、(牛乳生産者は)対象を絞った対策を講じたり、リスクを価格に反映したり、それが実行可能なビジネスモデルであることを融資機関に証明したりすることができない。これは、そのための基盤でもある」とMundol氏は付け加えた。
インド国際経済関係研究評議会(Indian Council for Research on International Economic Relations、Icrier)で農業政策、持続可能性、イノベーションを担当する特別教授のAshok Gulati氏は、牛は実際にメタンを排出しており、バランスの取れた飼料が不足していることが、その大きな要因になっていると指摘した。

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