俳優で映画監督のManav Kaul氏が、旅行記を出版したという話題を、「The Hindu」電子版で興味深く読んだ。
わたしもペンネームを使って、エッセイや物語を数点、同時並行で書いているところだ。
Manav Kaul unveils how his acting and cinema direction shape his writing
Manav氏は映画や演劇での自身の経験をもとに、最新の旅行記『A Mountain, A Lake and A Song』を執筆した。
「触れるものすべてを黄金に変える『ミダス王の手』を持つ」という表現は、多才なManav Kaulにぴったりかもしれない。
『Badla』『Thappad』『Jolly LLB 2』といったボリウッドの話題作で洗練された演技を披露してきたManav氏だが、文筆の世界でも同様に才能を発揮している。
戯曲を手がければ、『Ilhaam』『Park』『Shakkar Ke Paanch Daane』など、観客を引き込む舞台作品を生み出す。
演技や劇作、演出をしていないときには、趣のあるカフェで、創作意欲を詩や小説、旅行記の執筆に注いでいることも多い。
Penguinから刊行され、Vaibhav Sharma氏がヒンディー語から英訳した旅行記『A Mountain, A Lake and A Song』。
同書は、ヨーロッパの小都市をあちこち旅する中で書きつづった、自らの内面世界をめぐる瞑想的な記録である。
Manav氏は、この本が生まれた経緯について興味深い話を明かす。
「いつか小説を書いている自分を夢見ていました。でも、わたしにはそれだけの忍耐力がなかった。ロンドンからパリへ、パリからシャモニーへと旅をしているときでさえ、短編小説を書いていました」
40ページほど書いたところで出版社に送ると、出版社から本を最後まで書き上げるよう強く勧められた。
映画、監督、演劇、執筆という異なる芸術分野で活動することについて、Manav氏はこう語る。
「映画に出演しているときや撮影現場にいるわたしを見たら、本を書いた人間だとは思わないでしょう。そのときのわたしは、完全に俳優になりきっていますから。演劇をやっていたおかげで、最初はいろいろな興味深い劇作家の作品をたくさん読むようになりました。そして、自分も書かなければと思うようになったのです」
これが、短編小説や長編小説を書く道につながった。
「戯曲を書きながら、思いつくままに物語も書いていました。2016年に、最初の本が出版されました」
Manav氏はジャンムー・カシミール連邦直轄領バラムラ(Baramulla*)で生まれ、現在はナルマダープラム(Narmadapuram)*と呼ばれるマッディヤ・プラデーシュ州ホシャンガバード(Hoshangabad*)で育った。
その後同州ボーパールへ移り、最終的にはムンバイーに定住した。
後者の2都市は、彼の創作人生の中心となってきた。
こうした移住を経験してきたManav氏にとって、「家」は想像と記憶の中にある。
「自分が持っていないものからこそ、いつでも何かを引き出すことができます。子どものころのこと、特に家のことは、細部まで覚えています。そこに誰を登場させても、それは誠実で真実味のあるものになります。なぜなら、わたし自身がそこで暮らしていたからです」
故郷を失ったことを嘆くのではなく、Manav氏は「故郷を離れた苦悩を感じたり、故郷を恋しがったりするのではなく、その経験によって自分の内面がより豊かになった」と語る。
『A Mountain, A Lake and A Song』では、現実と想像の間に魅惑的な曖昧さが描かれている。そこで記者が、この作品にはフィクションの香りが漂っているのではないかと尋ねると、Manav氏はこう答える。
「わたしはいつも、フィクションのほうがより誠実で、真実そのものよりも多くの真実を含んでいると感じています。人生のかなり後になってから、文章を書くことで物事をより面白くする方法を自分は持っているのだと気づきました」
Manav氏にとって、書くことは平凡な日常から逃れるための場所でもある。
「実際のわたしの人生はとても退屈です。でも、それについて書けば面白くなる」
この旅行記は、ヨーロッパ各地の多様な地理や社会、文化を探訪するだけのものではない。
作家自身の内面へと分け入っていく旅でもある。
Manav氏は、わたしたちは「未知の世界へ足を踏み入れることで、自分自身を知りたい」という欲求に突き動かされていると考えている。
『A Mountain, A Lake and A Song』は、彼自身の旅の経験から紡ぎ出された、「未知」を織り上げた作品ともいえる。
「どこへ行くのかさえ考えずに旅を始めたとき、わたしは未知の世界へ一歩踏み出しました。どのページでも、そのとき自分が何を感じていたのかを、徹底的に正直に書いています。言葉も、家も、自分の仲間もいない。そうした安心できるものが何もないとき、人間に何が起こるのかを理解したいのです」
Manav氏はいつも山の近くに身を置きたがる。
そのため、この旅行記にも、ヨーロッパのモンブランから、ウッタラーカンド州ビンサル(Binsar)の山々まで、自身が山をめぐって旅した経験が色濃く反映されている。
Manav氏自身も、自分のことを「山の人間」だという。
「目の前に山があれば、朝にも、昼にも、夕方にも、夜にも眺めることができます。そのたびに、山は違う何かを与えてくれる。それこそが、山の美しさなのです」

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