引き続きゴアに滞在中である。
雨季明け間近のこの時期、9月下旬のゴアは、時折しとしとと雨が降ることもあるが、おおむね曇りか晴れ。
そして、この土地ならではの蒸し暑さを存分に体感する。
どちらかというとオフシーズンということもあるのか、今回、特に感じるのが観光客の変化だ。
インド人観光客が、かつてない規模で爆増している。
その一方、外国人観光客はほとんど見かけない。
そして、客層の変化に迎合するかのように、マクドナルドやスターバックス、バーガーキング、ブルートーカイ(Blue Tokai Coffee Roasters)といった、外資系ないし都市系チェーン店があちこちに乱立している。
もっとも、今回滞在先に選んだカラングート(Calangute)周辺は、昔からインド人観光客の割合が高い地域ではあった。
しかし、かつて外国人だらけだったアンジュナ(Anjuna)や、州都パナジ(Panaji)に移動しても、この実感は大して変わらない。
2年前に日本の母たちと訪れたとき以上に、どちらかというと後ろ向きな意味で著しくインド化、というより、中流インド的キャピタリズムに飲み込まれているように感じる。
かつてのような異国情緒を感じにくくなっているのは、少し寂しい。
もちろん、これは今回、数日間滞在しているわたし個人の印象にすぎない。
ゴアに永住したり、毎年のように訪れたりして、この土地を定点観測している人々にも話を聞いてみたいところである。
そして、ゴアで苦労するのが移動だ。
スクーターまたはチャーターのタクシーでも借りないと、なかなか思うように動けない。
というのも、配車サービス「GoaMiles」の独占状態であり、こうした殿様商売に慣れきった流しのタクシーからも料金をふっかけられ、らちが明かない場面が多いのである。
今回の宿泊先は、直前に予約した中級ホテル。
設備はかなりボロだったが、スタッフがすばらしい。
特に、ミゾラム州出身のフレンドリーな女性スタッフとは仲良くなった。
ちなみに、このホテルでは600ルピーから、キングフィッシャーなど好きな銘柄のビールを6杯飲めるという、なんとも「さすゴア」なパッケージを展開している。
かつてのわたしであれば、大喜びしたであろう。
暑い日中はホテルで仕事をし、日没近くになってからミラマービーチ(Miramar Beach)へ出かけた。
先日のカンドリムと同等くらいの人混み。
家族連れのインド人観光客が、洋服のまま水際ではしゃぐ様子を眺めるなどしながら、しばらく海辺で過ごした。
そして、ディナーにはパナジでポルトガル料理を食べようと、街を散策。
昔から行きつけの「Vinite」と同じくらいの高評価だった「Viva Panjim」に決めた。
古い建物を、よく言えば生かした、いわば「そのまま」のインテリア。
そこに、これまた古びた調度品が無造作に配置されている。
外からのぞいてみると、ほかの客もおらずガラガラである。
大丈夫かな、と思いつつ店内に一歩足を踏み入れ、魚介類の香りをかいだ瞬間「ここはまちがいない」と確信した。
それを裏付けるかのように、あとからあとから地元の人らしき客が入店。
またたく間に満席になった。
肝心のポルトガル料理は、価格がナゾに高かったのであきらめた。
代わりにゴア料理として、Kingfishのフライとゴアライス、そしてゴアパン「ポイ(Poi)」を注文した。
Kingfishのフライは、香ばしいラワ(rawa*)の衣。
その中に閉じ込められたジューシーなお魚の旨味が、パラパラに茹でられた、ほんのり塩の効いたゴアライスによく合う。
そして、焼きたてふわふわのポイ。
ほんのり甘みも感じられ、何個でも食べたくなるような軽さだ。
これらをトニックウォーターで流し込み、至福の夕べを過ごした。

*Kingfish: アジ科ブリ属の海水魚。ゴアをはじめインド西海岸で広く食べられている。フライやカレーなどによく使われる。
*Poi: ゴアで親しまれている伝統的なパン。丸く平たい形が特徴で、内部に空洞ができるように焼かれる。
*rawa: セモリナとも呼ばれる粗びきの小麦。インド料理では揚げ物の衣などにも使われ、香ばしく軽い食感を生み出す。
海で生まれ育ったとみえる、きょうだいワン。
どんな波だって乗りこなしてやるワン。

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