プネーで、命を繋ぎ合う男性とコミュニティ犬

 

Posted on 26 Jan 2019 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

プネー生活で大好きな面のひとつが、野良犬ではなく、みんなで見守っているかのようなコミュニティ犬がたくさん住んでいるところです。



ヒト以外の生き物は、生きていく過程に「損得」などの打算が入り込む余地はない。
本能に従って生きているのみである。
だからこそ、尊いのだ。

プネーで、飼い犬に命を救われた医師の話を、「Pune Mirror」が報じていた。

Stray dog saves doctor from death, repays him for rescuing her - Pune Mirror

医師のルネーシュさんは、同じ建物の1階に住む隣人のアミットさんと一緒に、16年前に拾ってきたメスの雑種犬、ブラウニーの世話をしていた。
すっかり老犬になったブラウニーだが、その鋭い感覚はまったく衰えていなかった。

今月23日、自室にいた65歳のルネーシュさんは、部分麻痺性の発作と軽度の心不全を起こしていた。

その時、ブラウニーに食事を与えていたアミットさんは、犬がいつもと様子の違う動きをすることに気づいた。
非常に落ち着きがなく、時折軽く鳴き、またいつもであれば飲み込むようにかきこむ食事に口を付けようとしない。

そればかりか、老体に鞭打って両前脚を上げては、ルネーシュさんの部屋の中を覗き込む仕草を繰り返したという。
「最初は何だろうと戸惑いましたが、ブラウニーが指し示す通りに部屋の入口に行ってみると、戸には中から鍵が掛かっていたが、少し空いていた窓の隙間からルネーシュさんが床に倒れ込んでいるのが見えたんです」アミットさんは記者の取材に答えている。

アミットさんは驚き、ただちにルネーシュさんの部屋の鍵を開けると、隣人たちの助けを呼び、ルネーシュさんを近くの病院に運び込んだ。

「ブラウニーはルネーシュさんの部屋の中に入れなかったのに、激しい息遣いと倒れた音に気付き、異常を知らせてくれたんです。ルネーシュさんは一人暮らしだったため、少しでも発見が遅れていたら、命にかかわる大変な事態になっていたでしょう」アミットさんは回想する。

実はアミットさん、視覚障害や特別な能力のある犬のためのNGO団体を運営している。
ブラウニーは14歳の時、生命を脅かす腎臓病に罹り、ルネーシュさんに命を救われていた。

1点、突っ込みどころがあるとすれば、「可能な限り救命措置を施しつつ、救急車を呼ぼう」だろうか。
ただし、プネーの渋滞事情などを考えると、地域や時間帯によっては救急車を待つ間も惜しかったのかな、という、別の深刻な事態も垣間見えてくる話題であった。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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