「Google Earth Voyager」を使った時空を超えた地球の旅を、農村部の学校が採用

 

Posted on 07 Mar 2018 21:00 in インド科学技術 by Yoko Deshmukh

娯楽どころか満足な図書館もない、もしかしたら学校まで遠すぎて通えないかもしれない田舎の子らにタブレットやスマートフォンを普及させれば、必ず没入します。それをうまい具合に本物の知識と教養を身に着ける機会へ導くことができるかがカギとなりそうです。



昨年、グーグル(Google)が立ち上げた新しいサービス、「Google Earth Voyager」。

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このサービスを、学校の歴史教育現場に導入しているカルナータカ州の試みが、「The Hindu」で紹介されていた。

Now, learn history in 3D view with Google Earth Voyager - The Hindu

歴史の授業が面白くないと感じてしまう子は、どこの国にも一定数いると思う(わたしもそうだった)が、インドの場合、一般教養としての歴史教育が手薄な学校が多く、自国の歴史そのものに関心がなく、きちんと学んだり、読んだりしたことがない人の割合が、少なくとも日本よりもだいぶ高いように思える。

そこでインドのNGO団体、「Indian Literacy Project」が、「Google Earth Voyage」と協力し、カルナータカ、タミル・ナードゥ、テーランガーナー、アーンドラ・プラデーシュの4州にまたがる公立校15校で、遺跡や史書の記述をもとに三次元映像化した、臨場感の高い歴史授業を試験的に取り入れている。

生徒たちは中世の帝国ヴィジャヤナガル(Vijayanagar)朝や、カルナータカ州のヴィッタラ(Vittala)寺院に安置された石の車輪などの、史跡、歴史上の王国や帝国の勢力図、重要な河川などが、三次元で生き生きと目の前に甦り、もっと知りたいところはクリックしてズームインできるなどインタラクティブに学べることから、歴史の授業への関心が大幅に高まっている。

この試験導入の成功を見て、翌学期には上記4州内2,000校、50万人の生徒たちを対象に導入していくとしている。

記事にもあったが、「Google Earth Voyager」というすばらしいテクノロジーが、歴史を単に試験に合格するための教科・科目のひとつとしてでなく、積極的に吸収したい知識として捉えてもらえたら、(遺跡の保全、これまで曖昧で深く探求されてこなかった史実の発掘を含めて)インドの「歴史」も変わっていくだろう。

一方、日本には歴史ファンが一定数いる。
古代インド叙事詩をベースとした映画「バーフバリ」人気の一端は、もしかしたら日本人の歴史好きも大いに影響しているかもしれない。





      



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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