ムンバイーで静かに進む「宮脇方式」による緑化

 

Posted on 11 Apr 2023 21:00 in インドあれこれ by Yoko Deshmukh

特に現在のような酷暑期のさなか、街路樹の落とす木陰の涼しさにはとても安心します。



たまたまウェブサーフィンをしていたら、ムンバイーで「Miyawaki Urban Forests」なるものが静かに拡大しているという記事を見かけ、気になって調べてみた。

Now corporates splurge on Miyawaki urban forests no longer civic preserve _ Mumbai News - Times of India

すると、2021年のムンバイー総領事館による植樹祭のもようを伝える記事がヒットした。

深堀総領事の宮脇方式植樹記念式典への出席 _ 在ムンバイ日本国総領事館

「日本の生態学者である宮脇昭氏が提唱・実践してきた植樹方法」とある。

ムンバイーでこれまでに実践されている「宮脇方式」について報じた動画を日本語に自動翻訳した記事もあった。

海外メディア「日本の技術がインド最大の都市に森を育てる」(海外の反応)

今年2月に報道された「Hindustan Times」の記事によれば、ムンバイー郊外部ナヴィー・ムンバイー(Navi Mumbai)地区では、行政(Navi Mumbai Municipal Corporation、NMMC)が主導した宮脇方式の植樹が盛んに進んでいることが分かる。

NMMC to expand Miyawaki urban forests, curb pollution through ₹45.80 cr Tree Authority budget

具体的には、2023年から2024年の会計年度に4 億5,800万ルピーの予算を計上し、既存の「宮脇式都市森林」を拡大し、また道路を美化することで緑地帯を増やすことを計画している。

109平方キロメートルに及ぶナヴィー・ムンバイー地区がグリーンベルトとなり、市民の憩いの場所となる庭園や歩道、広場も392か所を超え、「庭園都市(Garden City)」という愛称で呼ばれるようになった。



 

活動に参加している市民団体によれば、今年は少なくとも2万本のインド在来種の木を植樹するほか、8年後に3,500万ルピーの費用をかけて樹木の国勢調査を実施する予定としている。
ちなみに前回2015年の調査では、樹木の本数は85万7,295本だったが、NMMCでは現在、125万本を超えているものと見積もっている。

別の記事では、「宮脇方式」による植樹の取り組みが、ムンバイーの住民にもたらしている恩恵について詳細が書かれていた。

A mini-forest boom is taking over Mumbai. It’s called Miyawaki, Delhi is rushing in too

2020年1月26日に宮脇方式で植樹された、イースタン・ハイウェイ(Eastern Highway)から近い「バクティ公園(Bhakti Park)」では、行政が主導して2023年3月末までに、40万本の樹木が植樹されている見込みとしている。



 

「宮脇方式」では、都市部の狭い区画で在来の木をまとめて植樹することで、通常の10倍の速さで生育し、最終的には森のように木々が茂ることから、ムンバイー行政(BMC )では1万平方メートル以上の不動産インフラすべてに対し、スペースの少なくとも5パーセントを宮脇方式の植樹帯に当てることを義務付けている。

ムンバイーにおける宮脇方式でよく植樹されている在来種としては、次が挙げられている。
Arjun(Terminalia Arjuna)、Sita Ashoka(Saraca Asoka)、Kadamba(Burflower)、Kadulimba(Neem)、Karanja(Milletia Pinnata)、Umber(Cluster Fig)、Banyan(Ficus Benghalensis)、Peepal(Sacred Fig)、Putranjiva(Putranjivaceae)、Bakul(Spanish Cherry)、Guava(Psidium Guajava)、Tamarind(Tamarindus Indica)

世界で最も人口密度が高く、不動産価格も高い都市であるムンバイーで、宮脇方式の植樹が盛んにおこなわれていることは、注目すべきことだ。
「過去20年にわたり、緑化の維持や追加がおろそかになっていたことの罪滅ぼしだ」とBMCを批判する声も挙がっているようだが、それでも建設業者に宮脇方式の植樹を義務付ける取り組みには概ね称賛が集まっている。

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About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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