映画はめったに観に行くことはないが、今回は他でもない、映画評論家でもあるプネー在住の友人たけみちゃん（@tonchantonchan）のすすめで観に行った。
何よりディワーリーにたけみちゃんの引っ越し先新居にお邪魔した際、トレーラーを見せてもらって、その圧倒的な魔力にとりつかれたのであった。

まず、わたしのボケっとした稚拙な感想文よりも、たけみちゃんが素晴らしい映画評を書いているので、興味のある方はそちらを参照して欲しい。

竹美映画評64　伝統芸能の強み『KANTARA』（インド、2022年）

ディワーリー休暇終盤ということもあるのか、上映シアターは7割ほどが埋まっていた。

監督と脚本は、主役のShiva役として出演しているまさに「鬼才」のRishab Shettyさん。

登場人物、特に原住民（いわゆる保護部族）の泥臭さが光っている。
Shivaの母役や恋人Leela役は「森の妖精か」と言うほどの美人さん、丸刈りの強面な森林保護官はShivaに負けず劣らず鋭い眼光、悪役はそれはもう徹底したワルなのだが、いずれも一度見たら忘れられない魅力がある。
その他のキャストは一般人を動員したのかと思えるような素朴さが、かえって架空の話に現実味を帯びさせてくれる。
筋骨たくましい男たちの繰り広げる大迫力のアクションシーンはじめ、全体的な演出やカメラワークは、わたしのような素人にとっては「バーフバリ」を彷彿させる躍動感であった。
なお全編を通じて女性たちの強さ、そして女性への敬意が感じられる点も特筆したい。
音楽も素晴らしく、一部ゴア州の言語コンカニ語の民謡が流れていたのも面白い。

2時間半強の作品を通じて、Buta Kolaという実在するお祭りの時に、ケーララ州のカタカリを連想させる衣装や化粧を身に着け、Daivaと呼ばれる神が降臨した祈禱人が発する独特の「雄叫び」を何度も耳にすることになる。

19世紀末、1970年、そして1990年という3つの時代にまたがる、カルナータカ州のある土地とそこに古くから住む人々を導く、摩訶不思議な実在するアニミズム信仰を軸に描いたドラマだ。

Kantara (film) - Wikipedia（※ネタバレ注意）

一見するとマハーラーシュトラ州を含むインド全土によくある、原住民居住区と森林保護区とを巡る攻防のように見えるが、そう単純ではない。
（反転して、インド全土によくある土地の帰属問題は、この映画で描かれているようにシンプルでもなく、そこが国内で論争を呼ぶ火種のひとつになっていると考えられる。1990年という時代設定の意味も興味深い）

ストーリー自体は非常に分かりやすい娯楽作品なのだが、観客であるわたしたちは、この作品を通じて「Buta Kola」はじめ、なかなか知る機会のなかったカルナータカ州奥地の土着の信仰や代々受け継がれてきた営みを疑似体験したような気になれる点が特別でもある。
赤アリを潰して食べる場面などもある（気付けの作用があるとされている）。
畑を耕す牛が、場合によってはあんなに速く走れることにも仰天し、近所の牛さんたちにも失礼のないように行動せねばと一層気持ちを引き締めた次第である。

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本日の練習

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