狭い福岡を飛び出し、時空を超えた旅に出る:福岡で「南インド料理を味わおう」

 

Posted on 26 May 2018 21:00 in トラベルASKSiddhi by Yoko Deshmukh

魅力的なインド仲間に囲まれ、心身ともにリフレッシュしました。



ずっと楽しみにしていた日が、ついにやってきた。
一時帰国先の福岡で3日間にわたって開催されている「南インド料理を味わおう」、インド文化レクチャー付きの昼の部に参加した。

南インド料理を味わおう - Facebookイベントページ

前半は、ぐっち~ご夫妻、こと山口英一さん、真由美さんご夫妻による、ほのぼのインド一周旅を、臨場感ある動画をふんだんに散りばめた写真スライドとともに追う、楽しいことこの上ないひとときで、2時間があっという間だった。

なお、旅スライドのBGMにボリウッドの往年ヒットソングが使われていたので、さながらSTB(State Transport Bus:長距離バス)に乗ってご夫妻と一緒に旅をしているような、バーチャル感あふれる気分に浸った。
なぜならSTB車内では運転手の居眠りを防止するため、十数時間の道中ずっと大音量で人気ソングを流しっぱなしのことが多く、わたしにとっては長距離旅の記憶と言えば爆音ボリウッドなのである。

山口英一さんはインド哲学やサンスクリット語の研究者として長年インドと関わり、福岡では教育者としても、インドをはじめとする世界各国の留学生受け入れ事業を精力的に推進されている。
山口真由美さんは元学校教師で、現在は福岡アジア美術館で作品解説ボランティアの活動に従事されながら、英一さんと同じく、芸術や文化に対する鋭い感性をもとに、厳選したインド関連イベントを福岡に誘致されている。

小さな会議室を飛び出したインド旅は、ぐっち~ご夫妻が拠点としてこられたアーメダバード、そしてご友人がいらっしゃるチェンナイ、ハイダラーバード、ケーララ、そしてパキスタンはペシャワールのご家庭と辿り、なんと我らがマハーラーシュトラ州、独特の壁画で知られるワルリーとムンバイーで締めくくられた。
ご夫妻の友人にふさわしい、お料理上手なお宅でのおいしそうな家庭料理の数々、鮮やかなコーラムを滑らかに描く女性の姿、また機織り風景や、昔ながらの方法で布にプリントする光景が鮮明な動画で残されている様子に、じっと見入った。
本日発表のあった7つのスライドは、そのものが貴重なインドの日常の記録でもあった。

すてきなご家族の歴史とともに、時空を超えたインドの旅を満喫した。
そして、こんなご両親と一緒のインド旅であれば、どんなに楽しく、思い出に残るものだっただろうと想像する。

「インドは、どこを軸にするかによって見えてくるものが大きく変わる」ということを、英一さんは繰り返し述べられた。
まさにその通りで、「インドは見る人の心の鏡」でもあると思う。
心の曇ったわたしにとっては、インドという鏡も曇りっぱなしで、そんな自分に呆れ、落ち込むことも多いのだが、本日、ご夫妻のスライドを見せていただき、お話に耳を傾けていると、どんなスタイルでも自分らしくインドを味わえばよいのではないかと思わされ、温かかった。

続いて後半はお待ちかね、カリスマ料理人デュオ「とら屋食堂」さんによる、おいしい南インド菜食料理を味わう時間だ。
「とらや食堂」さんによるケーララ料理は、昨年末も福岡にて「祭事料理」をふるまうイベントが開催された折にも一時帰国中だったため、いただく機会があった。

福岡で「とらさんの南インド料理食事会」、熱々レポート - ASKSiddhi



こちらにフライドパパドとワダ(豆ペーストの揚げ物)、
ココナッツチャトニも添えられた



 

いずれも穏やかなシェフの人柄がにじみ出るような優しい味で、食べる人の健康と幸福を考える家庭料理を、極めて忠実に再現しようとされていることが随所に感じられる。
特にサカキさんが、「(パチャディと呼ばれるペースト料理に用いられた)ビーツは鉄分豊富な野菜で、食べる輸血」と説明された時、いつも同じことを義母から言われながら意識してビーツを食べているわたし(マハーラーシュトラ州ではそのままカットして生で食べることが多い)はひとりクスっとなった。

なお、南インドの家庭料理を食べる機会は、ふつうの日本人には皆無である。
「とら屋食堂」さんが、あまたある南インド料理店とは一線を画しているゆえんであり、これまた貴重な食文化との遭遇を提案されている点でも重要な役割を果たしている。

ちなみにサカキさんのお肌がピチピチのツヤツヤだったのだが、これは常日頃から、消化に良いとされる南インド料理を召し上がっている効果の賜物だろうか。
 





                  



About the author

Yoko Deshmukh   (日本語 | English)         
インド・プネ在住歴10年以上の英日・日英フリーランス翻訳者、デシュムク陽子(Yoko Deshmukh)が運営しています。2003年9月30日からインドのプネに住んでいます。

ASKSiddhi is run by Yoko Deshmukh, a native Japanese freelance English - Japanese - English translator who lives in Pune since 30th September 2003.



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